2025年10月7日火曜日

「オール・ユー・ニード・イズ・ラブ」ータイムループの教え

 

 「オール・ユー・ニード・イズ・キル」は、もちろんビートルズ(ジョン・レノン)の「オール・ユー・ニード・イズ・ラブ」の翻案なのだろうけど、ちょっと違う気がする。原題の「Edge of Tomorrow」でよかったのではなかろうか。

 「Edge 」の意味がとりにくいことを心配したのだろう。われわれの仕事や山歩きに即していえば、「明日への分岐点」といったところか。

 「オール・ユー・ニード・イズ・キル」はいわゆるループもの。過去と現在を何度も行き来しつつ問題を解決していく。

 われわれにとってループものの元祖はNHKドラマの「タイムトラベラー」(1972年)である。原作は筒井康隆の『時をかける少女』。

 1972年といえば、13歳であるから中学生だった。理科の実験室でラベンダーの香りをかいでタイムスリップする設定と謎の青年の存在にはひきこまれた。

 『時をかける少女』はその後、原田知世で実写版の映画になったり、アニメになったりしたけれども、NHKドラマには及ばない気がする。

 ループものにかぎらず、タイムトラベルものは大好きである。ドラえもん自体がそうであるし、ストーリーとしても頻出するので、誰もが好きなのだろう。

 いちばんのお気に入りはケン・グリムウッドの小説『リプレイ』(1990年)。43歳のニュース・ディレクターが人生を何度もやり直す。

 「オール・ユー」のように人生の課題を解決するというより、人生とはなにか、生きるとはどういうことかを教えられた作品。1990年といえば弁護士5年目、悩み多き時代に出会ったことも意義があった。

 さいきん(そうでもないか)の作品だと、映画「ミッション:8ミニッツ」(2011年)。これはほぼ「オール・ユー」のプロットそのもの。列車爆破テロが起きる8分まえに何度も送り込まれて事件を解決していく。

 主人公はループを繰り返すうちに、被害者の一人であるクリスティーナと恋に落ちる。ミシェル・モナハンの笑顔がすばらしい。

 最初はなんのためにタイムループするか分からない主人公たちだが、最後は恋人と愛を救うためにタイムループするのだと気づいていく。その教えは、オール・ユー・ニード・イズ・ラブ。

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