上高地から3時間歩いて横尾に着いた。きょうはここで宿泊。横尾から振り返ると、前穂とその北尾根が輝いていた(1枚目の写真)。美しい(しかし連休中、3人が滑落し、うち2人が亡くなっている)。
もともとは、まず常念岳に登り、稜線を縦走して蝶ヶ岳に登り、そして横尾に下山する計画だった。しかし、2日目午前中の天気は荒れるとの予報だった。強風と大雨。そこで急遽、常念岳を断念して、上高地から横尾入りすることに計画変更した。
天気予報の精度は格段に向上している。明日は14時から雨が降るというと、ほんとうに14時から雨が降り出すから驚きだ。山の天気が変わりやすいのは変わらない。けれども、天気予報の精度が向上したことにより、登山の安全性が増していることは間違いない。
他方でコロナ禍以降困っているのは、山小屋が完全予約制になったことだ。むかしはどんなに混雑していても、布団1枚に3人寝かしてでも、泊めてくれた。しかしコロナ禍以降、そういうわけにはいかなくなった。
むかしだったら、常念小屋で天気の回復をまって、蝶ヶ岳へ縦走していただろう。しかし山小屋の完全予約制により、そうもいかなくなった。その先の横尾山荘や槍ヶ岳山荘の予約が流れてしまったり、予約できなくなってしまうからだ。そのため、常念岳の登りを断念して、上高地から横尾にショートカットしたというわけだ。
2日目、午前9時まではかなりの雨量だが、それ以降は1ミリ程度と予報されていた。山荘で一日潰すのはもったいない。そこで、9時過ぎに小屋を出て、蝶ヶ岳(2677m)に登ることにした。
上高地の標高は1500mだから、標高差1200m。宝満山の標高が800mであるから、その1.5倍である。5時間半くらいのコースタイムだろうか。
雨のなかを出発したが、1時間程度で雨はあがった。この日、蝶ヶ岳に同じコースで登ったのは4グループ6人(くだりのときにさらに2グループ3人に出会った)だった。
5合目くらいから残雪となった。アイゼンを装着する。先行していたおじさんが先に進むかどうか迷っている。
夏道はみえない。オオシラビソの木につけられた道標やペンキマークを目印に登ることになる。トレースはあったりなかったり。ときどき判断に迷うところもあったが、おおむね地形に沿って登ることができた。
稜線部は雪が溶けて夏道が露出していた。しかし風が強い。夏であれば登山者が行き交っているところ、誰も歩いてはいない。
振り返ると、槍ヶ岳から穂高の稜線をのぞむことができた(2枚目の写真)。空は曇っているが、稜線にガスはかかっていない。
右端が槍ヶ岳。中央やや右に凹んでいる部分が難所として知られる大キレット。その左は穗高連峰である。
穗高連峰を拡大してみる(3枚目の写真)。右から北穗高岳、涸沢岳、奥穗高岳、前穂高岳。涸沢岳から下にエプロンのように白くなっているところが涸沢(左側に岩が点々とみえているのはザイテングラード)である。
さらに左手、南を見ると、木曾の御嶽山をのぞむことができた(4枚目の写真)。神々しい。霊峰と呼ぶにふさわしい。
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