さて次は52番札所の太山寺をめざす。ホテルの地図で見ると、右下から左上まで斜めに移動するかんじである。道後温泉から10Km、歩けば2時間半の道のりである。集合時間のしばりがあるので、電車を利用した。
ホテルの地図でみると、太山寺の最寄りの駅は高浜駅である。道後温泉から市電(チンチン電車)で、松山市駅まで。そこから伊豫鉄道高浜線で、三津浜を経由して高浜駅まで。しかしこれは間違いだった。
高浜駅の駅員さんに太山寺までの道筋を訊く。びっくりした顔をして、ここからはいけませんという。あわててスマホで検索する。たしかに普通の道はない。途中、三津駅あたりで降り、北上すべきだったようだ。
三津駅まで戻ればよかったろうが、とにかく北東に見えている、あの小山の上にあるはずだ。試しにそこから北上してみる。途中、道標があり、山越えの道があることが分かった。それを行くことにする。
松山観光港ターミナルまで10分ほど。ここから広島方面へフェリーが出るようだ。昔は広島方面から船で渡ってきて、山越えで太山寺にお遍路していたようだ。ターミナル前に広がるミカン畑の脇の細い道を登っていく。
現代の車社会において、お遍路道は廃れてしまい、登山道のようになっていた。いや、もっとひどい。草も十分刈られておらず、荒れていた。途中何度も引き返そうかと迷いつつ登っていく。
稜線ふきんまで登ると、高浜駅方面からの道と出会った(やはり、どこかから道があったようだ。駅員さんが知らなかっただけ。)。そこからは、普通の山道になり、石仏やキツツキに迎えられた。
坂を下りていくと、太山寺の裏側にでた。やったー。
太山寺は四国お遍路の52番札所。本尊は十一面観音。本堂はなんと国宝(1枚目の写真)。このようなところで(失礼!)、国宝が拝めるとは思わなかった。鎌倉時代(1305年)の建立。堂内には7体の十一面観音がおわすというのだが、暗くて6体しか確認できない。
本堂正面の仁王門は重文(3枚目の写真)。その横には仏足石が。通常なら、一の門、二の門をくぐり、階段を登ってきてここに達する。きょうは裏から入ったので、紹介順が逆である。
そこからは車道を東北東へ2.5km歩く。約30分。53番札所の圓明寺は、太山寺とちがって、街中にある。本尊は阿弥陀如来。天井ちかく、左甚五郎作といわれる龍の彫り物が。
左手にあったキリシタン信仰に使われたというマリア観音とキリシタン灯籠が、目をひいた。
寺の近くにJR予讃線が通っており、帰りは伊予和気駅から乗車して松山駅に戻った(つまり、松山にはJRの松山駅と伊予鉄道の松山市駅がある。)。社内をさわやかな風が吹き抜けていった。
松山駅前には、大きな石に子規の句が刻まれていた(この句は『坂の上の雲』で紹介されていたと思う。)。
春や昔十五万石の城下かな
※高校時代の恩師から、にきたづの「にき」は「熱」ではなく「熟」だよとご指摘いただいた。ありがとうございます。道後温泉→熱い田→熱田津と思い込んでいました。すみませぬ。
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