2012年10月9日火曜日

『風姿花伝』






「能のかたち」の
つづき。

『風姿花伝,謡曲名作選』(小学館)
「日本の古典をよむ」シリーズ。

これも,展の出口のところにあった
販売コーナーで買ったもの。

名作選は,『井筒』と『隅田川』が前書と重複していて
『忠度』(修羅物)と『船弁慶』(切能)が新作。

『風姿花伝』はいうまでもなく
世阿弥が記した能楽論。

秀吉が能のパトロンだったと書きましたが
世阿弥のころパトロンは足利義満・義持だったんですね。

おおくのライバルたちと競いながら
一座をアピールするなかで,芸がみがかれていきます。

もともとは家業をつぐ
子どもに教え諭す目的で書かれたもの。

きびしく稽古にとりくむことを説き
慢心をきびしく諫める論旨は,どの業界にも通用する教えが満載。

美しさ,珍しさ,楽しさ,すなわち「花」のある芸を
観客の視点を中心に論じる姿勢は,まったく古びていません。

少年期にはじまり,引退まじかまで
芸道を極めつづける教えには頭がさがります。

珍しさを観客に感じさせるには
タネあかし,ネタばらしは当然さけたいところ。

秘してこそ花
というわけです。

世阿弥は,『風姿花伝』が古典として
誰もが読めるようになるとは夢にもおもわなかったでしょうね。

今夜あたり
夢枕に立って嘆くかも。

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