2010年9月29日水曜日

 最後の恋のはじめ方



 ウイル・スミスの「最後の恋のはじめ方」のDVDを子どもが借りてきたのでいっしょに観ました。

 ウイル・スミスは恋に不なれな男性にくどき方やデートのやり方を指南するコンサルタント。彼がゴシップ記者のサラ・ミラスに恋をしてしまうことから、最後の恋がはじまるというストーリー。
 サラ・ミラス(エヴァ・メンデス)がセクシーで可愛い。

 ウイル・スミスが顧客にアドバイスするなか、コミュニケーションはボディ・ランゲージが6割、声の調子が3割云々といったくだりがあります。
 「メラビアンの法則」と呼ばれているものです(これも共育委員会でおしえてもらいました)。
 これによると言語情報のはたす役割は7%にすぎません。

 メラビアンの法則は裁判官の間であまり知られていないか、実務上顧慮されていないように思います。
 その結果、実際には7%の働きしかしていない言語情報が過度に重視されることになります。

 民事訴訟法は口頭主義(審理を口頭によっておこなう原則)、直接主義(事実認定のための証拠の取調べ等を裁判官自身がおこなう原則)を採用しています。
 しかし裁判官の交代や上訴などのばあい、その例外となります。
 あとから関与する裁判官は証言調書に残された言語情報のみに依存することになります。
 法廷における証人の驚愕、動揺や困惑した表情などは証言調書に残らないからです(むろん、そうした情報についても調書に残す努力はするものの限界があるところです)。

 かつて依頼人が手形を騙しとられた事件がありました。
 詐欺による手形債務は取り消すことができます(民法96条)。
 「約束は守ろう」という原則の例外のひとつ。
 でも、こういう詐欺師vs被害者型の事件はどれもそうですが、契約書などの重要な証拠は詐欺師側がにぎっていて、騙された側にはそのような証拠は残りません。
 こちらは情況証拠のつみかさねにより、相手の詐欺と嘘をあばいていくことになります。
 クライマックスは相手方の証人尋問です。
 反対尋問で相手方を追いつめ、多くの矛盾点で立ち往生させました。
 その結果、その証言を直接法廷で見聞した裁判官が判断した一審では快勝しました。

 ハリウッドの映画でしたら、これでめでたしめでたし。
 ですが本件は控訴され、調書を読んだだけの高裁裁判官により逆転敗訴させられました(新たな主張・証拠は提出されていません)。

 にがい記憶です。
 とはいえ、慎重・公正な判断を目的とする三審制を否定するわけにはいかないし。
 ウイル・スミスに依頼して指南してもらうしかないでしょうね。
 (ついでに私も指南してもらいたい。)

 
 ※当事務所は明日30日(木)から2日(土)まで研修のためお休みをいただき、当ブログも更新できません。ご了承くださいませ。

                                              やま

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