加齢にともない睡眠力が減退した。若いころはいくらでも眠れた。休日など9時ころまで寝ていることが普通だった。しかし加齢に伴い、寝入りが悪くなり、途中で目が覚めることも増え、朝も5時をすぎると目が覚めてしまう。どうやら眠るのにも力が必要である。
NHKでも、よい睡眠をとるための啓発番組をしょっちゅうやっている。むかしなら鼻もひっかけなかったが、いまは必ず録画してみるようにしている。
といっても、内容は同工異曲である。なぜなら、いまのタネ本は「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」だからである(グーグル検索すれば、トップにでてくる。)。
厚労省が音頭をとって、「健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会」が作成したものだ。2003年(平成15年度)に「健康づくりのための睡眠指針~快適な睡眠のための7箇条~」が策定されたのが皮切りで、ほぼ10年ごとに改訂されている。
改訂されるということは、その時々で言っていることが違うということである。しかし、しかたがない。人類の知見は不完全であり、進歩するものだから。
なぜ自分の流儀で好きなように寝てはいけないかというと、質・量とも十分でない睡眠は健康を損なうからである。
睡眠時間が短いと、肥満、高血圧、糖尿病、心疾患、脳血管疾患、認知症、うつ病などの発症リスクが高まることが明らかになっている。睡眠時間5時間のグループ100人と睡眠時間6時間のグループ100人を10年ほど継続して観察し比較すれば、この点は明らかになるだろう。
うちの相談者・依頼者も、うつ状態・うつ病のかたがすくなくない。対人トラブルなど大きなストレスを抱えて眠れなくなり、うつ状態・うつ病になるのだろう。またうつ状態・うつ病がさらにトラブルを引き寄せることにもなる。うつ状態・うつ病になると、難しい決断を要する紛争解決も困難になってしまう。
もちろん個人差はある。が、質・量ともに十分な睡眠を確保することが、心身の健康を維持するためにも重要なようだ。
ではどうすればよいか。高齢者、成人、こどものそれぞれで注意事項は異なるのであるが、高齢者の注意事項はつぎの3つ。
1 長い床上時間が健康リスクになるため、床上時間が8時間以上にならないことを目安に、必要な睡眠時間を確保する。
眠れないからといって、早くから、あるいは、いつまでも、布団に入っているのはよくないのだ。血流が悪くなり、健康リスクを高めるのかもしれない。
2 食生活や運動等の生活習慣や寝室の睡眠環境等を見直して、睡眠休養感を高める。
野菜の多い食事や適度な運動もたいせつだし、寝室の照明等にも気を配ろうということだ。
3 長い昼寝は夜間の良眠を妨げるため、日中は長時間の昼寝は避け、活動的に過ごす。
短時間の昼寝がよいことも言われているが、30分未満にしたほうがよいそうだ。休日に外出しないと30分以上の昼寝をしてしまうこともおおい。30分以上昼寝していたら電流が流れて目が覚めるスマートウォッチを開発してほしい。
生老病死。お釈迦様のころから生きていくうえで避けられない4つの苦しみである。老病のなかに睡眠が入ってくるとは驚きである。ま、生きていくうえで避けられないのであるから、できるだけうまくつきあっていくほかあるまい。
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