森林セラピーというのがある。セラピーというのは治療とか療法とかいう意味である。森林を散策し、自然に触れると治療効果が得られるということである。
このようなことはむかしから体感・実感としてあったと思う。近時、計測方法の進化により、リラックス効果、血圧の正常化、ストレスを感じると分泌量が増加するコルチゾール(副腎皮質ホルモン)の減少、免疫系のナチュラルキラー細胞の活性化などが測定できるようになっている。
心身に疲れを感じたとき、いきなり薬物を頼るのはいかがなものか。まずは森林を散策して自然に触れ、リラックス効果、免疫効果を得るほうが望ましいだろう。
人類は類人猿の時代はもちろん、600万年前に直立二足歩行をはじめてからも基本的に森林や森林ちかくで生活してきた。都市生活、テレビやパソコンに向かう生活はたかだかここ100年未満のことだ。だからストレスを感じる。森林を散策すると逆にリラックスする。
さいきんでは森林セラピーの考えがさらに拡張・深化され、別に森林を散策しなくても、自然に触れていればリラックス効果があることが分かってきている。自然セラピーという。
たとえば、プラスチックでできた櫛をつかうのではなく、つげの櫛をつかう。デスクのうえに木製品を置いて、ときおり触れてみる。それだけでもリラックス効果が得られるそうだ。
これをナチュラルセレクションというと言葉が強すぎるけれども、われわれ人類は長らく自然のなかで暮らしてきたのであるから、不自然な生活ではなく、自然な生活を送る時間を増やしたほうがいいよねと思う。さいきんますますそう思うようになった。