ロックガーデンを登りあがったところ。上部はゆるやかなピークをなしている。
足もとにはイワウメのお花畑がひろがっている。
さらに進むと、トムラウシ山のピークが頭をだした。いよいよだ。
ピークを越すと、トムラウシ山の全景と北沼がみえた。美しい。地上の楽園かと思える。しかしここを通過する際、いつも厳粛な気分になる。ここは山の美しさと厳しさが表裏一体であることを教えてくれる場所だから。
2009年7月16日、トムラウシ山は悪天に見舞われ、ツアーガイドを含む登山者8人が低体温症で亡くなるという大量遭難事故が発生した。
遭難の経緯は『トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか』(羽田治ほか・山と渓谷社刊)に詳しい。ウィキペディアでも概略を知ることができる。是非一読してほしい。
遭難したグループはこんかいの旅程とおなじコースを進んできていた。旭岳温泉→旭岳→白雲岳避難小屋(泊)→忠別岳→化雲岳→ヒサゴ沼避難小屋(泊)→北沼。
16日10時、一行は北沼に到着した。そのとき、大雨の影響で沼は様相を一変していた。晴れていれば地上の楽園であるが、悪天となれば沼の水は増水し、沼の左手から川となって流れ出していた。
一行はなんとかしてこの川を渡ったが、長い時間を要し、みなずぶ濡れになり、吹きさらしの場所で体温を奪われてしまう。渡渉を援助していたガイドも川で転んでずぶ濡れになってしまった。ガイドは3人いたのだが、このため指揮系統がバラバラになってしまった。
10時30分ころ、このあたりで68歳の女性が行動困難となった。その対応にガイドたちが追われ、他の参加者たちも1~2時間ここで待機させられた。以後、参加者個々としてもツアー団体としても行動不能になっていく。・・・
この日、沼に到着したのは2024年6月30日7時29分。天気は快晴。だが風は強かった。ビルの横にビル風が吹くように、風のとおり道になっているようだ。
2009年の時点で68歳と聞くとずいぶん高齢のように思えたが、いまとなってはほぼ変わらない年齢になってしまった。他人ごとではない。亡くなった方々のご冥福を祈った。
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