2017年12月19日火曜日

法定利率(1)~民法改正,筑紫野市の弁護士の解説(3)


         (嵯峨菊,大覚寺門外不出の)

 利子・利息。
 これほど庶民を苦しめてきたものはないと思われます。

 古くは出挙(すいこ)。日本史の教科書にでてきました。
 古代の貸付けの一種。公私2種あり,公出挙と私出挙です。公出挙は,春,国司(いまの県知事)が官稲を貸し与えたもの。秋の収穫のときに3~5割の利息をつけて返納しなければなりませんでした。つまり,春に米1キロを借りて秋に米1.5キロを返すということです。約半年の利息ですから,年利に換算すると60~100%になります。当初,勧農,救貧が目的であったものが,後には,貸付けも強制的になり,税となったとか。私出挙は営利目的で,利息は10割だったとか。つまり,年利200%です!

 中高校生のときこれを読んでも,文字づら以上のことはわかりませんでした。しかし,いまならわかります。むちゃくちゃ高利だったんだなぁと。

 いまなら「利息制限法」という法律があります。これによれば,次のとおり利息が制限されています。
 金銭を目的とする消費貸借上の利息の契約は,その利息が次の利率(単利)により計算した金額を超えるときは,その超過部分につき無効です(法1条1項)。
 ・元本が10万円未満の場合,年20%
 ・元本が10~100万円未満の場合,18%
 ・元本が100万円以上の場合,15%

 「利息制限法」は民事上の制限ですが,さらに「出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律」(出資法と略します。)があり,同法は年109.5%を超える金利について犯罪であるとして刑事罰の対象にしています。

 高利貸しという言葉があります。まるで蛇蝎のようなイメージです。古代においては国からして,いまなら犯罪になるような高利貸しだったわけです。当時の農民はたいへんだったでしょうね。

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