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2023年8月9日水曜日

黒部五郎岳と雲の平へ(6)北アルプスの最奥部へ

 
 さて北アルプスの最奥部、黒部五郎岳と雲の平への山旅の最終回。

写真の奥のギザギザは槍ヶ岳である。その手前の稜線、右(南)に登れば三俣蓮華岳、左(北)に登れば鷲羽岳である。

その稜線とこちら側の稜線の間は深い谷になっている。黒部川の源流が左(北)側から右(南)側へ流れている。あれ?と思うかもしれない。黒部川は日本海に注いでいるので、北へ向かうはずだから。じつは、このあと説明する雲の平をぐるっと半周して北へ向かうことになるのだ。

写真を拡大すれば分かるが、三俣蓮華岳と鷲羽岳をむすぶ稜線のやや右に三俣山荘が建っている。そこから、三俣山荘の中腹を右へトラバース(迂回)すると、黒部五郎岳へ向かうことになる。

三俣山荘から西、黒部源流へくだって徒渉し、ふたたび登りあがり祖父岳の中腹までくると、写真を撮影した場所に達する。さらに、西へ向かうと雲の平だ。新穗高温泉の登山口から三俣山荘まで2日かかっているので、黒部五郎岳や雲の平がいかに奥深いか実感できると思う。


 お目当ての一つ、黒部五郎岳である。標高2840m。日本百名山。東側がスプーンで削ったように、大きな丸い谷になっている。カール地形である。とにかく美しい。長い長い稜線を歩いてきた甲斐があるというものだ。


 お目当てのもう一つ、雲の平。日本最後の秘境と呼ばれる。美しい平原が広がっている。1枚目の写真は、黒部川・黒部峡谷越に薬師岳。

2枚目の写真は、雲の平の中央部に建てられた雲の平山荘。実に優美なデザイン。一度は泊まってみたいが、そうそう長く休んでいられないので、この日は双六小屋まで引き返し、翌日下山した。

いままでで一番のロングコース、最大の高低差だった。達成感がハンパない。

2023年8月8日火曜日

黒部五郎岳と雲の平へ(5)長大な稜線とピーク

 
(弓折岳、笠ヶ岳)

(双六小屋、むこうに鷲羽岳)

(双六岳の台地、むこうに槍ヶ岳)

(双六分岐から丸山、三俣蓮華岳)

(三俣蓮華岳)

(鷲羽岳、左奥に水晶岳)

 北アルプスの最奥部、黒部五郎岳と雲の平への山旅2日目のつづき。

1日目の宿泊小屋である鏡平山荘から1時間の登りで弓折分岐に着く。ライチョウの母子と出会ったところだ。1枚目の写真の真ん中のピークが弓折岳。その手前が弓折分岐。左斜め下に鏡平山荘がある。

弓折分岐から稜線を歩いて1時間超で双六小屋だ。1枚目の写真、真ん中から右へハイマツが生えていないのが登山道。それを真ん中から右へ歩く。

小ピークを3つほど乗り越すとやがて双六小屋が見えてくる(2枚目の写真)。まるで桃源郷のよう。小屋の向こうに鷲羽岳がそびえている。小屋の右(東)側の斜面を登っていくと、やがて槍ヶ岳に着く(西鎌尾根)。

左(西)側の斜面を登っていくと双六岳だ。1時間の登り。双六岳は円錐形ではなく、台地状になっている。振り返ると、槍ヶ岳へつづく登山道がのびている。まるで滑走路のよう。有名な絶景だ(3枚目の写真)。

山頂からは360度の大展望。東に槍ヶ岳や穂高岳、西に黒部五郎岳や薬師岳、南に笠ヶ岳・焼岳・乗鞍岳・御嶽山、北に三俣蓮華岳・鷲羽岳・水晶岳など。

双六岳からは北に転針する。三俣山荘まで、また1時間超の歩き。途中、丸山と三俣蓮華岳を越えていかなければならない(4枚目の写真)。

三俣蓮華岳は長野県、岐阜県、富山県の3県の県境をなしている。カール地形が美しい。カールは氷河が削った丸い谷である(5枚目の写真)。

三俣蓮華岳を乗り越えると、鷲羽岳が大きく迫る。鷲羽岳の山麓に三俣山荘がある。いくつもの稜線とピークを越えてようやく今日の宿泊地だ。ふう(このあと積乱雲が発達し、2時ころから雷雨となった。)。

2023年8月7日月曜日

黒部五郎岳と雲の平へ(4)山小屋


          


 北アルプス最奥部、黒部五郎岳と雲の平への旅のつづき。

山旅をする際、天気がよくて体力があれば、テントを背負っていけばよい。しかしそうでないなら山小屋を利用するのがよい。

こんかいも、上から順に、鏡平山荘、双六小屋、三俣山荘を利用した。三俣山荘は小さくて分かりにくいけれども、手前の稜線の右側に写っている。

山小屋のサービスはさまざま。旅館に近いところもあれば、山小屋らしいシンプルなところもある。鏡平山荘と双六小屋はおなじグループ経営で旅館にちかく、三俣山荘は山小屋らしいところだ。

いちばんの問題は水だ。トイレ、洗面、食事、水分摂取など、われわれ(特に日本人)はすべての生活局面で水を必要としている。山小屋で水に不自由する生活を送ることを強いられると、普段いかに水にめぐまれた生活を送っていたのか実感できる。

山小屋は水をどうやって得るかを考えて立地している。湧水や沢のあるところ、雪渓がちかく雪解け水が得られるところが豊富でおいしい水が得られる。

鏡平山荘は見てのとおり、近くに池がある。三俣山荘は湧水がある。双六小屋は雪渓から導水している。こんかい泊まったところはどこも水は豊富なところだった。そうは言っても風呂はない。風呂や温泉がある小屋は限られている。

このようにして水が得られないところは天水といって、小屋の屋根に降った雨水を溜めておいて利用することになる。水は貴重だ。お金を出して買うことになる。

水の問題は、トイレの臭いや洗面などいろんな問題に波及する。小屋泊まりのクオリティはほぼ水にかかっているといっても過言ではない。

水のつぎは輸送だ。むかしは歩荷さんが担いで登っていた。いまはヘリコプターを利用しているところが多い。なので物価が高い。

ペットボトル飲料が鏡平山荘、双六小屋で500円、三俣山荘で700円だ。もちろん、体力に自信があれば、自分で担いで登ればよい。しかしそうでないなら、お金で問題を解決しよう。

その次は、いまなら携帯電話がつながるかどうかだろうか。小屋は水が得やすい山あいにあることが多い。つまり、携帯電話がつながらないところが多い。これはストレスだし、時間もつぶしにくい。

その後にくるのが、小屋のオーナーさんやスタッフさんのサービス。各小屋で、アルペンホルンの演奏やグッズの販売などに知恵をしぼっている。

夏山登山は朝4時くらいに行動を開始して昼前後には行動を終了している。あるいは、雨が降り行動を中止して、いわゆる沈殿することもある。そのため時間つぶしが必要となる。昼寝をしてもよいが、夜がつらくなる。そのために、小屋には山関係の本がそろえられている。ただし、読書をするためには照明がいまひとつ。

・・・というわけで、山小屋生活は、日頃われわれがどれだけめぐまれた生活を送ることができているかを実感する場になる。みなさんも、いちどいかが?