社会保障制度の方法と財源としては、1950年社会保障審議会勧告の定義にあるとおり、保険的方法と直接公の負担(税金)とがある。
本セミナーを準備しながら、頭のなかを朝令暮改、朝三暮四という中国古代の故事に由来する四字成語がなんども去来した。
朝令暮改とは、命令や政令などが頻繁に変更されて、一定しないこと。朝出した命令が夕方にはもう改められるという意から。▽「朝に令して暮れに改む」と訓読する。出典:漢書 食貨志(goo辞書)。
社会保障制度は、1973年に「福祉元年」を迎えたものの、その後の経済の低成長、財政逼迫から場当たり的に、かつ、毎年のように改正を重ねてきている。事務所にあった古い教科書はほとんど役に立たない。社会保障法の改廃があまりにも頻繁であることは、どの教科書の筆者も嘆かせている。
朝三暮四とは、目先の違いにとらわれて、結局は同じ結果であることを理解しないこと。また、言葉巧みに人を欺くこと。転じて、変わりやすく一定しないことや生計の意味でも使われる。出典:列子 黄帝。中国宋の狙公が猿を飼っていたが、その猿たちにトチの実を朝三つ晩四つ与えると言ったら猿たちは怒ったが、朝四つ晩三つにすると言ったら喜んだという故事から(goo辞書)。
介護保険法は2000年4月スタート。それまで老人介護は老人福祉法による措置(税金による救貧)によっていた。後期高齢者医療制度は2008年の高齢者の医療の確保に関する法律に基づく。こちらもやはりそれまでは高齢者福祉法による措置によっていた。
もちろん表向きの美しい看板もかかっているのであるが、どちらも根本的には税金だけではまかなえなくなったので、保険的方法への負担を求める対症療法といえる。
税金という使途不明なものより、介護費・医療費という使途が明確なものになったという利点がないわけではない。しかし、負担増となった保険料分だけ税金が安くなったわけではない。まさに朝三暮四の感をぬぐえない。
このことをはっきりさせるため、国民負担率という概念がある。国民負担率とは、国民所得に対する税金と社会保障負担の合計額の割合をいう。
財務省によれば、2024年の国民負担率は45%である。日本史の教科書で、江戸時代の百姓が搾取されていたことを現す言葉として五公五民を習った。百姓は5割の米を年貢として納めさせられていたが、これは税負担として重すぎるだろうというのである。
もちろん、武士階級がほぼ全部搾取していた江戸時代と違い、介護サービスや医療給付として国民に還元されているところはある。しかし赤字国債の増大など、現在の負担を将来の子や孫に先送りしながらの45%負担である。無借金経営に切り替えれば、どれだけの負担増になるのか考えるだけでも恐ろしい。
・・・明るく楽しいブログをめざしているのに、社会保障制度を話題にすると暗くなるなぁ。
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