
きょうは「大寒」
節季がこれほどぴったりと感じられるのも稀な今日このごろ。
「武士の家計簿」で、堺雅人さんが債務整理・家計改革のあと
取り組んだのが子どもの教育でした。
ソロバンに忠実な生き方から
子どもにたいしてもソロバンという技能を愚直に教え込みます。
買い物の際に硬貨を一枚落としたことから帳尻があわなければ
雨のなかであっても硬貨を探させます。
硬貨を一枚拾ってきたときも、これを家計に入れることを
許さず拾った場所(川)へ捨てに行かせます。
ここまで徹底すればもう単なる技能訓練、職業訓練ではなく
生き方を含み、求道、修行、一子相伝の世界です。
千尋の谷底にわが子をつき落とす獅子のごとし
この場面では、ここまで厳しくする意味があるのか?との疑問も。
でも時代が激動化していくなかで、「意味」が浮上してきます
「オウエンのために祈りを」(J・アービング)のように。
父と子のあいだには激しい葛藤と反発を生じ、維新の激動のなか
子は父の意に反し、一時はソロバンを捨て武に生きようとします。
ところが親幕の加賀藩は、幕府軍が鳥羽・伏見の戦いに敗北したのち
「かが逃げた。」(加賀と蚊がを掛けた駄洒落)と揶揄される始末
武に生きる試みは挫折してしまいました。
維新の変革期に武に忠実に生き、散っていったのは「新撰組」の面々
かつての堺さんは大河で山南敬助を演じ、最後は切腹してしまいました。
こうして時代は武ではなく「数字に明るい人」を求めていました。
堺さんの子はこの時代の要請にぴったりあった技能を持っていたのです。
数字に明るい堺さんの子を取り立てたのは大村益次郎
長州の村医者から倒幕司令官になった「花神」です。
彼もまた自己のもつ技能について頑固さを最後まで貫く人でした。
変革期を生き抜くには、他にぬきん出る特殊技能や
時勢に流されない強い信念が必要である、そういうことなのでしょう。
堺さんのソロバン教育は時代の追い風と「花神」の眼力のたすけもあり
りっぱな花を咲かせました。
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