2018年4月11日水曜日
感染症の見落とし医療過誤事件の解決
医療過誤事件が交渉で解決しました。
感染症・敗血症の見落とし事案です。
感染症は,細菌やウイルスなどの病原体が感染して生じる病気のこと,敗血症は,それがコントロールできないほど重篤になり命が危なくなることです。
われわれに馴染みのある感染症は風邪です。
風邪は,ウイルスによる上気道感染症です。
風邪は喉の痛みや発熱によって気づきますね。
一般に,感染症の症状は痛みや発熱です。
痛みや発熱をひきおこす病気は,感染症にとどまりませんから,痛みや発熱という症状からただちに感染症とは診断できません。
血液検査をして白血球数やCRPという検査項目が基準値より多いと炎症反応があるとして,感染症の疑いが強まります。
あとは培養などして原因菌の特定に努めます。ですが,原因菌がはっきりしないままに,射程の広い抗生物質を投与することが一般的でしょう。
本件では,風邪ではない発熱が長く続き,血液検査の結果,炎症反応が見られたにもかかわらず,感染症を疑わず,抗生物質も投与しないまま経過観察を指示し,重大な結果をひきおこしてしまっています。
相手方ドクターに事情を聴きに行ったところ,きっぱりと責任を否定しました。感染症の見落とし事案に決まっていると思っていたので動揺しましたが,有責と判断し,内容証明郵便で損害賠償の請求書を送付しました。
医師は損害保険に加入していることが一般的ですので,このような賠償請求に応じるかどうかは,保険会社の審査会が判断します。東京新宿の高層ビル街で開かれた審査会に一度おじゃましたことがあります。医師,弁護士,学者ら10数人で合議するのです。損保の社員は事務局をするだけです。
本件では有責回答が来て,損害額について数回やりとりをしましたが,ほぼ請求額どおりの和解(示談)が成立しました。
交渉による示談解決は,訴訟になるより,時間,労力,経済的負担などがおおはばに節約でき,満足できる結果になりました。
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