2010年7月28日水曜日

【刑事事件-②】逮捕されたあなたへ~「国選弁護人」「私選弁護人」

落合です。

前回、「当番弁護士」のことを長々と書きすぎて、残りの「国選弁護人」「私選弁護人」のことを書くのがちょっと面倒くさくなり、もうウィキ○ディアの説明でも貼り付けとこうかと思いましたが思いとどまりました。

話題が散らかりっぱなしのブログの傾向を改善するため、この話題を完結させます。
しばしお付き合いください。

さて、前回お話しした「当番弁護士」が原則1回限りの“相談者”のようなものであるのに対して、その事件のその被疑者・被告人を担当する弁護士として委任を受けるとその人のために継続的に活動する“弁護人”になります。

ここで、逮捕された人、起訴された人の本人又は家族などが、自分の知っている弁護士、あるいは弁護して欲しい弁護士を私的に選んで弁護してもらうのが文字どおり「私選弁護人」です。
この場合、事案の複雑さ等に応じて、着手金(弁護人として動いてもらうにあたっての依頼料のようなもの)と報酬(結果の良し悪しに応じて変動する成功報酬)の金額・基準を決めて契約書を取り交わすことになります。

他方、逮捕されたけど、又は起訴されたけど知っている弁護士がいない、お金がなくて弁護士を雇えないというような場合には、国が弁護士を付けてくれる「国選弁護人」という制度があります。

但し、何から何まで全ての事件に国選弁護人を付けられるわけではなく、国選弁護人の対象となる事件は一定の範囲に限られています。

すなわち、被疑者段階(逮捕されたがまだ起訴されていない段階)においては、「法定刑が死刑又は無期若しくは長期3年を越える懲役若しくは禁錮に当たる事件について、被疑者に対して 勾留状が発せられている場合で、被疑者が貧困その他の事由により私選弁護人を選任することができないとき」に限り、勾留質問の場などで裁判官に対し、国選弁護人の選任の請求をすることで被疑者国選弁護人を付けてもらえます。
何だかよくわからないかもしれませんが、対象となる事件の場合、勾留質問のときに裁判官が「被疑者国選弁護人というものを付けることができますがどうしますか?」と聞いてくれるようですので、「はい」とひとこと言っておけば大丈夫です。(厳密に言えば資力申告書も書かされますが、結局私選で頼むあてがなければ被疑者国選弁護人が付きます)但し、どの裁判官も100%聞いてくれる保障はないので気になったら裁判官に「これは国選弁護人を付けられないのですか?」と聞いてみるといいでしょう。できるか否かを説明してくれるはずです。

ちなみに福岡では、「当番弁護士」の待機日に被疑者国選弁護人の担当依頼が弁護士に回ってくる運用になっています。 (だから新聞に載っている当番弁護士名簿は≒被疑者国選名簿(ほぼ)です。)

続いて、逮捕され、捜査機関(警察署、検察庁)の捜査が進んで、検察官が事件を裁判所にかけて処罰を求めてくる(起訴)と、「被疑者」の身分は「被告人」に変わり、今度は「被告人国選弁護人」を付けることができるようになります。

こちらは細かい要件は省略しますが、法廷で裁かれる場合は、裁判所が自動的に付けてくれたり、資力報告書を提出するなどの手続をすれば付けれたりと、私選弁護人がいなければ大体付けてくれます。

ちなみに「被疑者国選弁護人」として付いていた弁護士がいた場合、特段の事情のない限りは、引き続きその弁護士が「被告人国選弁護人」を担当することになります。

長くなりましたが、「当番弁護士」「国選弁護人」「私選弁護人」の違いは大体このような感じです。

簡単に言ってしまえば、「当番弁護士」は逮捕されてしまった人に対する最初の相談窓口、「国選弁護人」と「私選弁護人」は継続的に弁護してくれる人、「国選弁護人」と「私選弁護人」の違いはお金はかからないけど誰に弁護してもらうかは選べないorお金はかかるが自分で弁護してもらう弁護士を選べるか、といったところです(ちなみに、弁護士は「国選だから」という理由で手を抜いたりはしません)。

刑事弁護人の具体的な仕事の内容等についてはまたの機会に書かせていただきます。

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