2026年1月26日月曜日

年末の山旅(6)四阿山と根子岳③

 一週間ほどお休みをいただいた。筆者の都合ではなく、ブログ側の都合によるものである。更新されてないねとお声をいただいたので、再開することにしよう。

 

 根子岳からの下りは、往きと変えて、やや北寄りのコースにして菅平スキー場のほうへ向かう。

 北西に絶景が広がる。奥は頚城山塊。右から順に、妙高、火打、焼山、雨飾である。

 手前の盆地は長野市あたり、千曲川が左手(西南)から右手(東北)へ流れている。今朝は上田を出発した。上田では北西へ向けて流れていた千曲川だが、四阿山ほかの山塊をぐるりと迂回して、あそこでは北東へむけて流れて行く。雄大である。




 小根子岳。



 前方に北アルプスの山々。


 最後は牧場をつっきる。夏は牛が飼われているのだろうが、冬は一頭もいない。

 ここから先、ダボス地区に入っていく。トランプ大統領が乗り込んだスイスのダボスではない。菅平高原のダボス地区である。

2026年1月14日水曜日

年末の山旅(5)四阿山と根子岳②

 


 根子岳(2207m)登山のつづき。森林限界を超えた。森林限界は、風雪などの厳しい環境により、高木が生育できず森林が形成できなくなった境界のことである。

 写真ではわからないが、森林限界を超えると北西の季節風が直接吹きつけ、厳しい登山を強いられることになる。

 先行者のトレース(踏み跡)が複数あるので、ずいぶん楽だ。アイゼンだけでいけるのか、ワカンが必要なのかは微妙なところだ。トレースがしっかりあるので、ワカンは必要ないと判断した。


 振り返る。森林限界がみえる。その奥は北アルプスである。


 斜度が増してきた。スノーシューを履いている人は先行者のトレースがないところを歩きたがる。そのため複数のトレースができている。夏とちがって冬はどこを登ってもOKである。


 樹氷(スノウモンスター)。いまだ生成途上である。樹氷は霧氷の一種。マイナス5度以下の低温下、水分を含んだ強い西風が樹木の北西側に氷や雪を付着させて成長する。

 霧氷がパリパリした印象であるのに対し、スノウモンスターはどっしりした印象である。



 さらに斜度が増す。頂上の祠がみえてきた。空の青が濃い根子岳ブルーである。空気が澄んでいて積雪が太陽光の青を反射・強調することが理由である。

 冬山での「汗冷え」は危険なので、汗をかいてはいけないとされる。そのためには重ね着したウェアを頻繁に着脱しなければならない。それでもこの斜度を登るとなると、汗をかかないでいることはできない。


 山頂。抜群の天気である。方位盤の向こうに北アルプスが白く輝いている。


 南のほうは槍・穂高連峰がみえる。中央の凹みが大キレット、右に槍ヶ岳、左に穗高連峰である。


 西北西のほうは白馬連峰(白馬三山)。右から白馬岳、杓子岳、鑓ヶ岳。


 北のほうは頚城山塊。妙高、火打、焼山、雨飾(ほぼ雲に隠れている)である。先日訪れた糸魚川は、あの雨飾の向こうだ。

 手前は長野盆地、千曲川が流れている。上田のあたりを西西にむけて流れていた川は、川中島あたりで北から北東へ転針し、右手にある越後境をめざしている。


 南は八ヶ岳。逆光である。


 その向こうには富士山もみえた。200km離れていても見えるとは驚きだ。


 東南東には四阿山。根子岳は四阿火山のカルデラの一角である。

 ここらあたりはフォッサマグナの中央部である。太古海の底だったところが、数千年から数百万年まえまでに、プレートの活動により盛り上がったり、火山活動により生成されたりしたとは信じがたい。


 南東にはあす登る予定の黒斑山(右手)と浅間山(中央の白い山)がみえた。浅間山の美しさはどうだろう。期待に胸が高鳴った。

2026年1月13日火曜日

年末の山旅(4)四阿山と根子岳①

 

 翌朝。上田駅からバスに乗り、北を目指す。本日は四阿山(あずまやさん)と根子岳に登る予定。四阿山は日本百名山、根子岳は花の百名山である。阿蘇山にも根子岳があるが、山容は対照的である。

 途中、真田氏発祥の地とされる真田郷を通る。山あいの谷を登っていくと、車窓は雪景色に。

 1時間ほどで菅平高原に達する。夏は避暑地である。各種スポーツの夏期強化合宿がおこなわれることで有名。事務所の弁護士のご子息がラグビーをやっていて、夏は父子でここへやってきていた。

 ダボスというバス停で降車。ダボスはスイスの地名にあやかって。スイスのダボスは世界経済フォーラム年次総会が開かれることで有名な、国際的リゾート地である。

 バス停から東へ向かう。 

https://www.google.com/maps/place/%E9%95%B7%E9%87%8E%E7%9C%8C%E4%B8%8A%E7%94%B0%E5%B8%82/@36.5401168,138.3638428,4986m/data=!3m1!1e3!4m6!3m5!1s0x601dbccc8689a4b1:0xe1d60b56b2f55b4c!8m2!3d36.4019126!4d138.249075!16zL20vMGRicmRt?entry=ttu&g_ep=EgoyMDI2MDEwNy4wIKXMDSoASAFQAw%3D%3D


 1時間ほど車道を歩くと牧場入口ゲートである。ゲートからが本格的な登山道である。


 今季初雪山。雪山は夏とちがってアイゼンを装着して歩かなければならない。四阿山と根子岳はなだらかな山容なので、初雪山の足慣らしにもってこいである。

 しばらく牧場の柵に沿って歩く。


 樹林帯に入る。雪が深くなってきた。


 関西弁の女子に追いついた。ふり仰いで霧氷の写真を撮っている。

 じつはきょう3度目の遭遇である。2度道に迷ったので、追いつかれたり追いついたりで3度目となった。このあともこんな状態がつづいた。


 落葉した木々の枝にびっしりついた霧氷が美しい。青空とのコントラストが美しい。







 振り向くと、冠雪した北アルプスの山並み。美しい。


 中央やや右が鹿島槍ヶ岳である。双耳峰なので同定がしやすい。左に爺ヶ岳、右に五龍岳である。

2026年1月9日金曜日

年末の山旅(3)千曲川と上田城

 

 別所線で上田駅に戻る。温泉口から南へ5分ほどで千曲川にでる。さきほど別所線でわたった千曲川橋梁が赤く美しい。

 川は五木ひろしの歌にある、あの千曲川である。もうちょっと古くは島崎藤村の『千曲川のスケッチ』に描かれている。

 https://www.aozora.gr.jp/cards/000158/files/1503_14594.html

 日本百名山である甲武信ヶ岳(こぶしがたけ)を源流とする。山は名前のとおり、甲州、武州、信州三国の国境に位置する。当然のこととして分水嶺であり、信州側に降った雨が流れ下り、佐久盆地を経て上田盆地に達する。

 ここからさらに流れ下り、長野市で犀川(さいがわ。上流部は槍ヶ岳に発する梓川)と合流し、新潟県に入って信濃川と名を変え、日本海に注ぐ。地理の授業で習ったとおり、日本一長い川である。





 千曲川と犀川が合流するあたりが、あの川中島である。武田信玄と上杉謙信の死闘がくりひろげられた。

 上田は、戦国時代、NHK大河『真田丸』で描かれたとおり、真田家の所領として名高い。上田の地勢は、甲斐の武田、越後の上杉のほか、北条、徳川という強豪に囲まれていて、どの強豪について生き延びるかという難しい選択を迫られる地域であった。 

 千曲川橋梁から10分ほど北へ歩くと上田城跡である。背後には太郎山があり、川が削ったと思われる崖上にある。千曲川が天然の堀になっている。要害の地である。

 上田城は、徳川の大軍に二度攻められ(第一次、第二次上田合戦)、二度とも落ちなかった難攻不落の城として有名である。
 

 第二次上田合戦といわれてもピンとこないかもしれない。関ヶ原の合戦の際、秀忠率いる家康の別動隊を遅参させたという、あの戦いである。

 小諸城(懐古園)の前には、その際、秀忠が腰掛けたとされる憩石が残されている。

 ・・・くだくだと書いてきたが、隠れ歴男(れきお。歴女の対語らしい)ではないので、そこはよろしく。

2026年1月8日木曜日

年末の山旅(2)別所温泉

 

 上田駅で新幹線を下車する。上田は3回目である。27日はまだ半日あるので、どうしよう?

 山番組もすきだが旅番組もすきだ。「六角精児の呑鉄本線・日本旅」 「中井精也の絶景!てつたび」 「ニッポンぶらり鉄道旅」などをよくみる。

 これらの番組で上田電鉄・別所線が紹介されていた。そこで上田電鉄・別所線で別所温泉へ行くことにした。なお、隠れ鉄ちゃんではないので、そこはよろしく。

 上田というところは、北東から南西にかけて瓢箪のかたちをしている。中央のくびれ部分に上田駅がある。北東端にはあす登る予定の四阿山、日本百名山がある。南西端にはこれまた日本百名山の美ヶ原がある。

 別所線は、上田駅から美ヶ原の麓へ向かって走って行く。終点の別所温泉駅まで15駅。地元の人たちが乗り降りする、ザ・ローカル線である。ここもさぞかし経営がきびしいだろう。


 別所温泉駅、終着駅である。奥村チヨの歌の歌詞とはちがい、悲しい女が吹きだまっている様子はない。 

 別所温泉は、日本武尊が開湯したといい信州最古とされる。むかしは養蚕でにぎわっていたという。いまはそれはない。ひなびた温泉街である。

 温泉街には安楽寺、常楽寺、北向観音といった塩田流北条氏ゆかりの古刹があり、信州の鎌倉と呼ばれる。


 駅から10分ほど歩くと、温泉街に接して北向観音がある。堂が北向きにたつことから。常楽寺が本坊で、天台宗である。

 善光寺は来世利益、北向観音は現世利益をもたらすということで、両寺を参拝することが必要とされる。


 縁結びの霊木、愛染かつら。川口松太郎の小説『愛染かつら』のモデルとして有名になったという。

 ハート形の葉や桂の木は秋にメープルシロップのような甘い香りをだすので、縁結びの霊力があるとされたのかもしれない。冬は葉を落とし、縁結びの霊力は感じられない。


 芭蕉句碑。観音のいらかみやりつはなの雲

 隣には北原白秋「春駒」の歌碑もあった。 



 愛染堂奥の広場からは、塩田平、上田盆地、その奥に四阿山と根子岳をのぞむことができた。


 安楽寺。山号は崇福山、曹洞宗。


 見どころは国宝、八角三重塔。1952年3月、松本城とともに国宝指定を受ける。長野県で初である。八角というのが珍しい。四重に見えるが、初重は裳階である。庇である。


 大師湯。別所温泉には3つの共同浴場がある。石湯、大師湯、大湯である。それぞれ真田幸村、円仁、木曾義仲ゆかりとされる。


 どれにするか迷ったが、堺雅人@『真田丸』を思い浮かべつつ、石湯につかった。入湯料300円。安い。