2025年10月22日水曜日

森吉山、角館、姫神山の旅(1)九州の空旅

 

 今年は宇宙人に洗脳されたのか、各地でクマ被害がすごい。そうしたなか、秋田・岩手の山に登ってきた。

 まずは仙台空港までの空旅である。

 福岡空港から離陸すると、すぐに筑後平野が眼下に見えてくる。筑後川と宝満川が合流するあたりが久留米である。有明海の向こうには雲仙岳が雲に浮かんでいる。


 高度を十分にあげたところで、飛行機は東(左)へ旋回し進路をとる。南(右手)には阿蘇の山々が見えている。左奥は祖母・傾の山塊、右奥は九州脊梁だろうか。


 しばらくすると、くじゅうの山並みである。手前に涌蓋山、奥に大船山・黒岳、中央に三俣山や久住・中岳等の山々。拡大すれば夢の大吊り橋も見えているはずだ。右奥はやはり祖母・傾の山塊。


 つづいて、由布院の街並みと由布山。手前は水分峠、奥は鶴見山。その向こう側は別府市街のはずだ。


 別府湾。向こうには、はや、四国の佐多岬である。

 九州にはクマがいないという。ご先祖様たちが熱心に狩った結果でもあろうが、この水域がクマの進出をはばんでいるせいでもある。関門海峡ぐらいなら泳いで渡れそうだが、平家の公達たちもおぼれたという激しい海流がこれをはばんでいるのだろう。

 のこのこ秋田・岩手まででかけて行ってクマ被害にあえば、九州の山に登っていればよいものをと批判されるのだろうなという思いがよぎる。

2025年10月21日火曜日

The Diplomat(Netflix)を観て

 

皆さま、こんにちは。

筑紫野市・二日市にある「ちくし法律事務所」です。今日は少し肩を休めて、最近観た映像作品について思うことを綴ってみたいと思います。日常や法務の現場と直接つながるテーマではないかもしれませんが、「外交」「交渉」「信頼」「裏切り」といったキーワードは、私たち法律実務にも通じる面があると思った次第です。


作品概要

私が観たのは、ネットフリックス(Netflix)配信のドラマ『The Diplomat』。主人公はアメリカの大使として英国に赴任する女性外交官。国際的な危機、国内政治、夫婦関係というプライベートな問題が混ざり合いながら、〈外交/交渉〉の舞台が描かれています。 ウィキペディア+2Netflix+2

シーズン1時点で、「外交役割という極限状態の中で、いかに人間関係や倫理・パワーの駆け引きが作用するか」が丁寧に描かれており、批評家の評価もまずまず(例:ロッテン・トマトでシーズン 1は84%)です。 Rotten Tomatoes+1


感想メモ:法律事務所から観えてくる視点

以下、私なりに「法務・相談支援」の場と重なりそうな視点を整理します。

1.「相談者/依頼者」と「事務所側」の関係にも通じる“信頼構築”
外交官として赴任し、未知の環境で信頼を一から築いていく主人公を見ると、私たち法律事務所が地域で“生活の場”に身を置き、相談者の方と同じ目線で歩もうとする姿勢(当事務所の理念でもあります) e-NAVITA(イーナビタ) - 駅周辺・街のスポット情報検索サイト+1 を改めて思い起こしました。
相談者は時に「制度という大きな力」と格闘している立場にあります。そこに寄り添い、見えにくいところを一緒に考える――この姿勢は、外交の場で“相手国”に向き合う姿とも響くな、と感じました。

2.“駆け引き/裏切り/交渉”の構図
作品内では、国同士、あるいは組織・個人の間での駆け引きや思惑のズレが大きな動力になっています。例えば、「敵か味方か」あるいは「共有できる利害とは何か」といった問いが、外交という舞台で幾重にも提示されます。 Netflix+1
法務の現場でも、「当事者の立場」「相手方や第三者の立場」「制度の枠組み」の間で、交渉や調整が必要な場面が多くあります。単純な“お願いすれば通る”という構図ではなく、見えない利害や背景を読み、選択肢を整理し、信頼を再構築していく。これもまた“外交の技術”に似ていると思います。

3.限界・演出としての“フィクション性”を意識する
一方で、作品はドラマとしての演出も多く含んでおり、リアリティの点で賛否もあります。たとえば「実際の大使がこれほど自由に動けるか?」という批判もあります。 Politics Home+1
法律実務もまた「制度」と「人」の間で動くため、フィクション扱いにはしないものの「理想/現実」のギャップを常に意識しておくことが重要だと改めて思いました。相談内容が“ドラマ的”にならないよう、日常のリアルなところから丁寧に整理していくこと――作品鑑賞を通じて、そうした態度を確認できました。


相談支援・地域との関わりからのメッセージ

当所では、筑紫野・太宰府・大野城・春日・那珂川といった地域を活動拠点とし、地域の生活事情に応じた解決を目指す「地域事務所」としての役割を大切にしています。 e-NAVITA(イーナビタ) - 駅周辺・街のスポット情報検索サイト
この作品のように、一見「国家レベル」「国際レベル」の話に見えるテーマでも、実は「人が対人で、信頼を築き、交渉をし、困難を乗り越える」という共通点があります。
地域の皆さまの人生の中にも、法務・労務・相続・交通事故・離婚・借金整理など、“困った”という局面があります。その時に、誰とどう話すか、どう交渉するか、どう制度を使うか――それらは、決して遠い世界の話ではありません。

このブログをご覧の皆さまも、もし「相談したい」「まず話を聞いてほしい」と感じられることがあれば、どうぞお気軽にご連絡ください。
当所では初回相談無料のケースもございますし(交通事故・相続・借金・労働者側など) e-NAVITA(イーナビタ) - 駅周辺・街のスポット情報検索サイト+1、地域の皆さまとともに歩んでまいりたいと考えております。


〆の一言

『The Diplomat』は、確かに見応えのあるドラマでした。 “外交”という大きな舞台が設定としては派手ですが、その本質には「人と人とのやり取り」「信頼と裏切り」「選択と影響」が横たわっており、法律相談・支援業務にも通じるものがあると感じました。
私自身、日々の相談で「この先どうしたらいいか」「選択肢は何か」と向き合っておりますが、こうした作品を通じて改めて“寄り添う姿勢”を整理できたことに感謝します。

皆さまも、秋の夜長、少し違った視点で映像鑑賞してみてはいかがでしょうか。
それでは、また次回の更新でお目にかかります。
どうぞお元気でお過ごしください。

── ちくし法律事務所 スタッフ一同

 文責:AIくん。また進化したのでしょうか、出典が示されるようになりました。

2025年10月20日月曜日

事務所メンバーで宝満山登山

 

 週末は事務所メンバー5人で宝満山に登った。宝満山は830m。太宰府の北東(丑寅=鬼門)の方角にあり、麓には鬼滅の刃のモデルとなったという竈門神社が鎮座する。

 何度か書いたように2023年9月に事務所メンバー6人でウォーキング同好会を立上げた。以来、太宰府路の散策(3回)からはじめ、四王寺山登山、天拝山登山(2回)ときて、満を持しての宝満山登山である。

 ウォーキング同好会のメンバー2人が差し支えで、メンバーではない1人が参加したので、総勢5人である。

 あいにく昼頃から雨予報であったので、午前8時には登りはじめ、昼頃には下山する計画であった。

 西鉄太宰府駅前からバスに乗り、登山口のある内山を目指した。駅からはロータリーの後方に宝満山が見えていた。しかし、集合場所の竈門神社駐車場に着くや、ポツポツと降り出してしまった。


 ヒキガエル。またの名をガマガエル。イボがあるのでイボガエルとも呼ばれる。毒があるので毒ガエルでもある。筑波山では「ガマの油」が売られているが、成分はガマの油ではないようだ。 

 宝満山は5月になると、小さなヒキガエルたちが集団で登山をおこなう。NHKの「ダーウィンが来た!」などでとりあげられて、一躍全国的にも有名になった。

 この日も大きなヒキガエルが坂を登っていた。そろそろ下らないといけないのではないかと心配した。


 全山ほぼ花崗岩である。とくに山頂ふきんは大きな花崗岩の塊が露出している。メンバーの一人が写っているが、まるで岩の巨人の掌のうえに乗っかっているようである。

 海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込む際、マグマが発生し、地中深くでゆっくり冷え固まったのが花崗岩。他の岩盤に比して比重が軽いので、長い年月をかけて浮上してきたのだという。

 こうした荒々しい地形が神仏の存在を感得せしめ、古代から仏教、神道、修験道などの信仰の対象とされてきた。江戸期ころには修験道が隆盛となったようだが、明治期の廃仏毀釈により山上の施設は失われた。夢の跡だけが残っている。 


 この日は雨だったにもかかわらず、われわれ以外にも多くの登山者が登っていた。なかには教え好きの人もいて、メンバーに花の名を教えてくれたりする。メンバーには「・・・ボトケ」と聞こえたようだが、グーグルさんによるとキッコウハグマ(亀甲白熊)のようだ。

 日本各地でクマ被害が起きている(九州にはクマがいないといわれる)が、こういうクマなら出会っても安心だ。

 登頂するころには雨もあがり、全員無事下山することができた。天気のよい日に再チャレンジしたい。

2025年10月17日金曜日

ある遺言無効確認請求事件(勝訴)

 

 ある遺言無効確認請求事件に勝訴した。

 遺言者は、令和3年9月に亡くなった。子どもは3人、うち長男は亡くなっており、二男と長女に遺産を相続させる旨の遺言をのこした。長男の子(以下、原告という。)が二男と長女を相手に遺言無効確認請求の裁判を起こした。

 遺言は3通あった。平成29年5月作成の第1遺言、平成30年5月作成の第2遺言及び令和3年5月作成の第3遺言である。第3遺言は公証人が作成した公正証書遺言である。

 原告の訴状によれば、これら遺言が無効である理由としては次のとおり。①作成当時、遺言者が100歳超の極めて高齢であったこと、②令和元年11月、認知機能テスト(長谷川テスト)で30点満点中8点であったこと、③同年12月、要介護認定を受けた際の診断書に、日常の意思決定を行うための認知能力について判断できない、自分の意思の伝達能力について伝えられないとされていること、④アルツハイマー型認知症は進行性の病であること、⑤これら認知症の症状は、平成10年ころから見られるようになったこと等である。

 遺言無効確認請求事件は、むかしからあったと思われるが、近時その争いが先鋭化しているのは、介護保険制度の施行が背景にある。制度前は、遺言能力に疑義があったと考えたとしても、これを裏付ける診断書の入手は困難であった。

 しかし、介護保険制度後は、要介護認定を行う際、医師の診断を受けることになっている。その結果、認知症高齢者の日常生活自立度、認知症の中核症状、認知症の行動・心理症状等について、詳細な診断書が存在することが多い。

 認知症の主要な診断基準としては、米国精神医学会のDSM-5、世界保健機構によるICDー10などがある。厚生労働省は、これらに基づき、介護保険を運用し、上記のような診断を要求している。

 同じく重要視されるべきは、民法の定める成年後見人制度である。成年後見人は、本人に財産管理能力が無くなったときに選任されるものであるから、そこで定める基準は参考になる。

 さらに、公証人が公正証書遺言を作成する際、遺言能力に疑義がある場合の要件というのもある。

 本件各遺言が有効であるのか無効であるのかは、これら各基準を参考にしながら検討されなければならない。

 判決は、①令和元年11月及び12月の状態は、長期入院の影響による一時的なものであること、②その後の回復傾向、③公正証書遺言作成時における遺言者の状況等を踏まえ、本件第3遺言は無効ではない旨判断した。

 複数の遺言が存在するばあい、最新のものが有効であればそれによることになる。それ以前の遺言については、その有効性を判断する必要はない。第1及び第2遺言の無効を求める請求は却下された。

 かくて、ある遺言無効確認請求事件に勝訴した。

2025年10月16日木曜日

根抵当権設定登記抹消登記請求事件(勝訴)

 
 
 根抵当権設定登記抹消登記請求事件に勝訴した。

 筑紫地区にある宅地に、昭和46年8月付けで、根抵当権設定登記がなされていた。根(ね)抵当権は、普通の抵当権と異なり、変動する被担保債権を極度額の範囲で担保する抵当権である。

 住宅ローンであれば元本が変動することはない。しかし、八百屋や豆腐屋の仕入れ代金などとなると毎月変動することとなる。その都度、普通の抵当権を設定していたのでは、手間と設定費用がバカにならない。そこで元本変動を容認する抵当権が必要とされたのである。その代わり、普通の抵当権とおなじ状態にするには元本の確定手続が必要となる。

 設定会社は、平成20年4月に解散し、同年9月精算結了、閉鎖登記がなされていた。登記された清算人は平成29年死亡し、清算人はいなくなっていた。

 このような場合、根抵当権設定登記抹消登記請求とともに、相手方の会社の特別代理人の選任請求を行う。相手方の代理人弁護士をこちらの費用負担で選任するのである。弁護士費用が2倍かかるけれどもやむを得ない。

 根抵当権は設定の時から3年を経過すると元本の確定請求をすることができる。本件根抵当権は昭和46年8月設定であるから、令和7年の現在であれば疾うに3年を経過しており元本の確定請求を行った。

 同請求から2週間で元本は確定する。被告会社は、すでに清算を結了しているくらいだから、被担保債権があるはずはない。そのため、本件根抵当権は被担保債権の不存在により消滅することになる。

 かくて根抵当権設定登記抹消登記請求事件に勝訴した。普通の弁護士であれば、誰でも勝てる事件ではある。が、困っている人のために、一応のご紹介まで。

2025年10月15日水曜日

ある認知調停事件(解決)

 

 婚姻関係にない父と母の間に出生した子を父が認知しない場合には、子などから父を相手とする家庭裁判所の調停手続を利用することができます。

 この調停において、当事者双方の間で、子が父の子であるという合意ができ、家庭裁判所が必要な事実の調査等を行った上で、その合意が正当であると認めれば、合意に従った審判がされます。

 認知がされると、出生のときにさかのぼって法律上の親子関係が生じることになります。

 【母が「無戸籍」状態の子について(元)夫を父としない戸籍の記載を求める場合】

 婚姻中に生まれた子は夫の子と推定されます。離婚後300日以内に生まれた子は、原則として、元夫の子と推定されますが、例外的に、その出生の時までに母が再婚した場合は、再婚後の夫の子と推定され、出生届を提出すると、再婚後の子とする戸籍が作られます(令和6年4月1日以降の出生に限ります。同日より前の出生の場合は、その出生の時までに母が再婚した場合であっても、離婚後300日以内に出生した子は元夫の子と推定されます。)。

 母が再婚していない場合は、仮に他の男性との間に生まれた子であっても、出生届を提出すると、元夫の子とする戸籍が作られます。この場合、元夫と子との親子関係を否認するためには、原則として嫡出否認の手続によることになります。

 しかし、婚姻中又は離婚後300日以内に生まれた子であっても、(元)夫が長期の海外出張、受刑、別居等で子の母と性的交渉がなかった場合など、母が(元)夫の子を妊娠する可能性がないことが客観的に明白であり、(元)夫の子であるとの推定を受けないものと判断される場合には、子の実の父を相手として認知調停の申立てをすることができます(このような場合、(元)夫を相手として親子関係不存在確認調停を申し立てる方法もあり、どちらかの手続を先にしなければならないということはありません。)。

 以上は、裁判所のHPからの引用です。

 DNA鑑定技術の進歩を背景に、家族観の変化、多様な家族の存在を踏まえ、親族法・戸籍法や家庭裁判所実務もすこしずつですが、変化してきています。

 本件は、婚姻中に生まれた子であっても、(元)夫と別居中で子の母と性的交渉がなかった場合、すなわち、母が(元)夫の子を妊娠する可能性がないことが客観的に明白であり、(元)夫の子であるとの推定を受けないものと判断される場合であるとして、子の実の父を相手として認知調停の申立てをおこなったものです。 

 家庭裁判所は、DNA鑑定の結果等を踏まえ、(元)夫ではない相手方を実の父であるとして審判を行いました。

 なお、(元)夫と母は、本申立に先立ち、離婚調停を申し立て、離婚が成立しています。

2025年10月14日火曜日

渡り蝶・アサギマダラが飛ぶ秋に思うこと

 



 こんにちは、ちくし法律事務所です。

10月も半ばに入り、秋の空気が一層深まってまいりました。朝晩の冷え込みが感じられるようになり、事務所近くの木々も少しずつ色づいています。

さて、今日は少し変わった話題を。

この季節、九州でも「アサギマダラ」という美しい蝶が見られることがあります。ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、アサギマダラは「渡り」をする珍しい蝶で、春から初夏にかけては本州や東北地方、秋には南下して九州・沖縄、そして遠くは台湾まで飛んでいくこともあるそうです。その移動距離はなんと2,000kmを超えることもあるとか。

淡い水色の羽に黒の縁取りという幻想的な姿が印象的で、見かけると思わず足を止めてしまいます。私たちが暮らすこの地域にも、ひととき羽を休めに立ち寄るその姿は、まさに「旅人」と呼ぶにふさわしい存在です。

■ 小さな命が教えてくれる「環境」と「つながり」

アサギマダラが渡りを続けるには、途中に咲く花や、休息できる自然が欠かせません。つまり、各地の「つながった環境」があって初めて、その命の営みは成立しています。

このことは、私たち人間社会にも通じるものがあるのではないでしょうか。

たとえば、法の世界もまた、人と人、地域と地域、世代と世代の「つながり」の中で成り立っています。相続、労働、企業間の契約、あるいは家族の在り方…一つひとつの問題が、それぞれの立場や価値観の違いをどう橋渡しするかという課題に直面しています。

私たち法律家の役割は、その「橋渡し役」として、公平で持続可能な社会の実現に貢献することだと考えています。

■ 秋のひとときに思いを馳せて

アサギマダラが私たちの地域を通り過ぎるのは、ほんの数日かもしれません。しかし、その旅路に私たちの土地が選ばれたこと、そしてその蝶が安心して羽を休められる環境があることは、誇るべきことだと思います。

日々の忙しさの中でも、ふと立ち止まって空を見上げたり、風の匂いを感じたりする時間を大切にしたいものですね。

法律相談やご依頼はもちろんのこと、身近な自然や社会のことなど、皆さまと共に考えていけるような事務所でありたいと願っています。

今後とも、ちくし法律事務所をよろしくお願いいたします。

 文責:AIくん