2018年6月20日水曜日

残雪の北アルプス(6)












 しばらく行くと,前方で3人くらいがさかんにカメラ撮影をしていました。これは雷鳥だ!と駆け出しました。案の定,現場に到着すると,白馬側の斜面の下方100メートルに雷鳥が2羽。なにやらじゃれあってる?つがいかな?と思っていたら,1羽が飛んで尾根上まで上がってき,もう1羽が追いかけてきました。あれれ,どちらもオスです。雷鳥のオスはマツゲの辺が赤くなっているので,すぐにわかります。どうやら,オスどおしのナワバリ争いのようです。追われているほうが追尾をふりきるため,決死の覚悟でわれわれのほうへ向かってきました。

 という2羽を皮切りに,今回の山行ではたくさんのライチョウにであいました。20羽までは数えたのですが,それ以降はその他おおぜい。全部で30羽にはであえたと思います。

2018年6月1日金曜日

残雪の北アルプス(5)


(八方尾根から北を望む。白馬三山)

 翌4月30日はやはり朝3時30分起床,4時前に八方池山荘を出発です。早出,早着が基本。5時ころ日の出なので,4時ころであればもうヘッドランプはいらないぐらいには見えます。

 きのう偵察したとおり,八方山ケルンを経て,八方ケルン。ここでアイゼンを装着するつもりでしたが,ツボ足のまま雪原に踏み出します。第2ケルンを経て,第3ケルンへ。夏であればここから八方池とその背後に白馬三山がのぞめますが,八方池はいまだ雪のなか。白馬三山はすこしずつ明るくなってきています。

 もうしばらくいくと,下の樺(しものかんば)。なぜか,このあたりだけ突然,ダケカンバの樹が数十本はえています。もう少し登ったところにもあるので,下の樺と上の樺と呼ばれています。カップルがアイゼンをつけて休憩していました。

 もうちょっと行けるだろうと通過したところ,後方が急に明るくなる感じがして振り返ると,ご来光です(写真は,「ロータリークラブ地区大会@宗像ユリックス」に添付のものです。)。太陽のパワーはすごく,日の出とともに身も心もあたたかくなります。太古の人類は毎朝,ご来光をまちわび,畏怖の念をいだいたことでしょう。

 下の樺を通過すると,右手に雪壁が。ここはさすがにツボ足では怖そうなので,アイゼンを装着。ピッケルとアイゼンで手場,足場を確保しながらよじ登ります。去年だったら恐怖をおぼえたくらいの雪面ですが,すこしずつ慣れてきました。

 あたりが明るくなり,左右に絶景がひろがります。右手は白馬三山です。積雪期にいちど登ってみたい。はたして登れるようになるでしょうか?
                         (つづく)