2018年2月15日木曜日

ナイスな打ち返し


(燕岳東面)

 きのうは民事裁判の証人尋問だった。
 事案は,遺産預金のなかから故人の生前の治療費を精算したところ,その精算は認めないとして,同金員の返還を求められたもの。つまり,こちら側が被告事件である(よく誤解があるが,民事の被告は訴えられた側という以上の意味はない。刑事事件のような容疑を受けているのとはちがう。)。

 原告2人,被告2人の4人の尋問で計4時間の長丁場だった。
 被告のうち1人はアラ70の女性。
 尋問前から,頭がまっしろになって立ち往生したらどうしようと本人も心配し,当職もあやぶんでいた。

 ところが,フタをあけてみると,案ずるより産むがやすし。当職の主尋問に対してしっかりした供述をされた。

 問題は,つづいておこなわれる相手方弁護士による反対尋問。
 これまたしっかりした受け答え。事前の心配がなんだったのかと思える充実の時間だった。

 原告側の主張の要点は,上記治療費は,故人によってすでに精算されていたのではないかということ。関連して,当方が立て替えた金員の出所も争点となった。

 その出所の一部がタンス預金だという当方の主張・供述に対し,相手方弁護士から追求がおこなわれた。

 相弁:いったいそのタンス預金はどこに保管していたのですか?
 当方:夫にわからないところに保管していました。
 相弁:だから,それは具体的にはどこですか?
 当方:いやです。それは教えられません。
 相弁:いや,答えてください。
 当方:藏です。
 相弁:・・・・。
 当方:冗談です。
 (法廷内,爆笑)

 30年以上弁護士をし,100回以上は証人尋問をしている。けれども,これほどナイスな打ち返しははじめて。
 このような顧客のサポートをすることができて誇りに思った。

 次回までに裁判所から和解案が示される予定である。
 結果はどうあれ,当職の尋問については,顧客さまにはたいそう満足していただいた。
 つかれたけれど,充実の1日であった。

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