2025年6月13日金曜日

残雪の槍ヶ岳(5)ババ平・大曲・グリーンバンド

 

 槍沢ロッジに宿泊。翌朝4時30分起床、5時朝食、6時出発だ。もう何パーティもが先に出発している。

 若いころは暗いときに小屋を出て、先行するのが好きだったが、このごろは人さまの後塵を拝するようにしている。そのほうが安全性が高いから。

 とくに今日の午前中、山頂付近は風速20メートル以上の強風が吹いている予報なので、あまり早く山頂付近に着きたくはないのだ。

 きのう偵察した槍平までやってきた。日の出は4時55分。それからもう2時間くらい経っている。それでも槍沢のV字谷にはまだ日が射さない。

 槍ヶ岳の穂先がきょうも見えた。穂先には光が射している。美しい。よし、きょうこそはあれのテッペンまで登るぞ。


 ババ平キャンプ場をすぎた。雪原の向こうに大曲が見える。槍沢は大曲で狭まって文字どおりV字谷となる。そして北北西に向かっていた道は東へと大きく進路を変更する。文字どおり大曲りするのだ。


 谷が狭まるので、雪崩れや落石の危険が増す。この時間まだまだ気温が低いので雪はしまっている。先行者が2人。崩れないことを祈りつつ、谷に入っていく。


 谷の上部には東鎌尾根の山々が見えている。燕岳から槍ヶ岳にいたる表銀座のクライマックスだ。右端が水俣乗越だろうか。この右手に西岳、左手に槍ヶ岳がそびえているはずだが、ここからは見えない。



 大曲を曲がって、槍沢の上流部。正面に3,000m峰の大喰岳が美しい。太陽もだいぶ昇り、日陰から日向へまさに出ようとするところ。ここから先、ゴーグルかサングラスとUBケアが不可欠だ。


 シュカブラ(雪紋)。きょうはそれほどでもないが、強風がつくりだす雪の芸術だ。


 槍ヶ岳の肩までは2つの大きな雪の急斜面を越えなければならない。まず第一の急斜面である。進行速度が極端に遅くなり、先行者も登りあぐねてたくさん停滞している。

 ここから先、左右からの雪崩れ、落石に要注意だ。何度か人頭大の石塊が転がっていくのを目撃した。当たるか当たらぬかは運次第、ロシアンルーレットだ。へたばって下ばかり見ていないで、頭をもたげて注意して登ろう。


 第一の急斜面を登り切り、グリーンバンドと呼ばれる地点まで到達した。この季節、グリーンは雪に埋もれ、ホワイトバンドだ。

 右上方にひょっこり槍の穂先。ようやく穂先をまぢかに見ることができるポイントまでやってきた。

 ここで先行していたバックカントリースキーヤーのカップルに追いついた。女性はバテバテだ。スキーは帰りは楽ちんだが、急な登りには向いていない。

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