65歳の男性が交通事故で脊柱に運動障害を残す後遺障害を負ったとする。後遺障害第8級に該当し、45%の労働能力を喪失したとされる。
この場合、慰謝料のほか、逸失利益(交通事故に遭わなければ得られたであろう収入)という損害について賠償請求することができる。
65歳男性(大学卒)の平均年収は456万円である。45%の労働能力喪失だから、年間205万円の損害を被ったことになる(話を分かりやすくするための概算)。
問題はそれがあと何年続くかである。一般的には67歳まで働けるとされる。65歳だとすると、あと2年である。
もしくは平均余命の半分を選択することもできる。平均余命とは聞き慣れないかもしれない。平均寿命とは異なる。
平均寿命は母数のなかに0歳や20歳で亡くなった方々が含まれている。平均余命は65歳まで生き延びてきた方々だけが母数に入る。したがって、平均余命>平均寿命となる。
65歳男性の平均余命は19.52年である。その半分だとするとすると、・・・。
まてよ。自分も65歳である。余命20年を切っているではないか。弁護士を40年やってきて、これまで損害賠償額を算出するための数字だったものが急に生々しいものに思えた。
そうしたおり、「最高の人生の見つけ方」をNHK BSでやっていた。2007年、18年前の映画である。劇場でも観たし、テレビでも観たことがある。
モーガン・フリーマンとジャック・ニコルソンのダブル主演。2人は同じ病室で余命半年と宣告を受けたことから、同病相憐れむということか、奇妙な連帯感が生まれる。
人間の悲しい性(さが)。ふだんは自分の人生はいつまでも続くと思ってしまう。しかし余命半年と言われると、いわゆる締め切り効果を生じる。期限が迫ると集中力や作業効率が俄然アップする。なんとかしなくっちゃ。
かくて2人は最高の人生を探す旅にでかける。ジャック・ニコルソンが大金持ちという設定なので、自家用ジェットで世界中を飛び回ることができる・・・。
まてよ。モーガン・フリーマンは66歳という設定である。2007年に観たときは、じぃさん2人でいいよねと思ったが、なんとほぼ自分の年齢ではないか。これまたびっくり。思わずモーガン・フリーマンに肩入れして観てしまった。
映画のストーリーは、簡単にいうと青い鳥(ネタバレしてすみません。18年も前の映画なのでいいでしょ。)。最高の人生は、お金をかけずとも、意外と身近で見つかるのだ。