2025年6月10日火曜日

残雪の槍ヶ岳(2)徳澤

 

 明神から1時間歩くと徳澤である。広々としたキャンプ場があり、開放感がすばらしい。右側の山並みが常念山脈、左側に梓川をはさんで槍穂高連峰がそびえている。

 上高地は標高1500m。徳澤、横尾もほぼそれくらいである。1000m登るにつれ、気温は6度マイナスだから、平地より9度くらい低い。5月だと9~16度くらいである。



 徳澤には山小屋がふたつある。徳澤ロッジと徳澤園。徳澤園には宿泊したことがある。氷壁の宿と呼ばれ、人気なので。


 ここは軽食・喫茶室。宿泊しなくても利用できる。コーヒーとソフトクリームがおいしい。もちろん行きよりは帰りのほうが、ずっとおいしい。

 山小屋といっても、旅館と山小屋の中間形態。上高地は一般車進入禁止であるが、許可車は乗り入れ可能なので、町と遜色ないサービスが提供可能なのである。


 氷壁の宿と呼ばれるのは、井上靖の小説『氷壁』の舞台となったから。

 登山家の魚津は、昭和30年の年末から年始にかけて、親友の小坂と前穂東壁の冬期初登頂をめざす。吹雪に見舞われ厳しい登攀を強いられるなか、山頂直前で小坂が滑落・・・。

 徳澤からすこし行き、新村橋で梓川を渡る。しばらく行くとパノラマルートに行く道と奥又白池に行く道に分かれる。魚津たちは後者を登っていった。

 奥穂東壁は、そこまで行かなくとも、横尾へ続く登山道を歩いていると、美しく輝く奥穂の懐に見えている。

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