被相続人は、依頼人Aの父である。母はすでに亡く、兄弟姉妹が1人Bである。
長くかかった原因の1つは、この父が3度婚姻し、それぞれの婚姻(前妻、前々妻)について子がいたためである。前々妻の子が1人C、前妻の子が2人DEである。依頼人からみて、CDEはいわゆる腹違いの兄弟姉妹である。つまり、相続人はABCDEの5人である。
腹違いの兄弟姉妹のことを、民法は「父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹」と定義している。CDEはこれにあたる。依頼人AとBは「父母の双方を同じくする兄弟姉妹」である。民法は、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分について、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とすると定めている。
その結果、相続分はA2/7、B2/7、C1/7、D1/7、E1/7となる(分数が苦手だと、ここでつまづいてしまう。ついてこれるかな?)。途中でEがDに相続分を譲渡したので、相続分はA2/7、B2/7、C1/7、D2/7となった(ややこしや)。
長くかかった原因の2つは、遺産の内容が変化したからである。当初、不動産は被相続人の単独占有という前提で協議をしていたところ、途中で共有持分であることが判明した。たくさんある遺産のなかの一部であるとはいえ、当職の確認もれである(ここには書けない事情もあった。)。
長くかかった原因の3つは、依頼人が途中で怪我をし入院されたからである。社会の高齢化にともない、このような事象が増えている。退院後も、松葉杖をつきながらの打合せでたいへんである。
長くかかった原因の4つは、他の相続人の意向により、他の相続人の意向が変化したことである。当初は要らないと意向を表明していた人が、他の相続人が要ると表明したことを知って、それなら自分もいるという具合である。
長くかかった最大の原因は、前妻の関係の相続がからんできたことである。相手方は別途解決を望んだが、当方は同時解決を希望した。この調整に手間取った。
遺産分割協議終了後も、遺産を換金するのに時間がかかった。当職らが作成した書類について、まず法務局の不動産登記はすんなり受け付けてもらえた。しかし金融機関や証券会社はなんやかやと主張し、なかなか換金に応じてくれなかった。
以上の諸要因により、長くかかった。長くかかったが無事解決することができた。めでたし、めでたし。
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