ある監護権者指定、子の引渡し請求事件について審判があり確定した。
子どもの成長発達について第一次的に責任をもつ保護者のことを親権者という。一般の父母のばあい、共同親権を行使する。離婚後は、これまでどちらか一方を親権者と定めていた。離婚にいたらず別居中の父母のどちらかが親権同様の権限を有することを監護権という。
依頼人は子の父。母が子を連れて実家に帰ろうとしているのでなんとかならないかと依頼を受けた事案。
父と協議することなく、母の独断で子を実家に連れ帰ってもらっては困る。今後の協議は当職が窓口になるので、協議がまとまるまでは無断で実家へ連れ帰らないようにという受任通知を作成した。
通常であれば内容証明郵便を送るところ、父母がまだ同居していたので、父に受任通知を手交してもらった。すると母は当方と協議することなく、単身実家へ帰ってしまった。
しばらくして母が弁護士に依頼し、相手方が提起したのが、監護権者を母にする、子を引き渡せという審判である。本審判のほか、仮処分もあわせて申し立てられた。
離婚の場合の親権者の定めについて、民法はこう定めている(819条)。
父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
協議が調わないとき、または協議をすることができないときは、家庭裁判所は、父または母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる。
親権についての定めであるが、監護権もおなじである。つまり、家の名誉だとか、父母の経済力などは親権を決める際の決め手とはならない。すべて「子の利益のため」になるかどうかが基準である。
これを具体化すると、①現状維持、②乳幼児について母親優先、③子どもの意思の尊重などである。
本件では、母がひとり実家に帰ってしまい、子は父と同居している状態であるので、①現状維持の見地からすれば、監護権者は父となる。
②乳幼児について母親優先の見地からすると、監護権者は母となる。子の意思の尊重は、小学校高学年くらいになって子の意思が表明できるようになってからである。本件では保育園にかよう幼児であるので、子の意思は確認できない。
別居に至る経緯・子が父のもとにいる経緯、それまでの子育ての実績、別居後の子の養育監護状況、今後における監護方針等、諸般の事情について互いに主張・立証がおこなわれた。
その結果、かろうじて依頼人父を監護者と定める審判がなされた。相手方はこれについて不服申立をおこなわず、審判は確定した。ひとまずはほっとした。
しかしまだ離婚調停が残っている。まだまだ気が抜けないのである。
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