2024年7月4日木曜日

新潟の旅(10)十日町情報館、越後妻有里山現代美術館 MonET

 

 十日町市博物館の並びには十日町情報館がある。1999年に「読書の楽しさと知る喜びを感じる」ことを目的に掲げて開館した公共図書館。おしゃれ。映画「図書館戦争」のロケ地となったこともうなずける。残念ながら、この日は図書の入替作業のため休館。


 情報館から南東に向けてしばらく歩きJR飯山線・北越急行ほくほく線の線路を通過すると、右手に越後妻有里山現代美術館 MonETがある。

MonETはMuseum on Echigo-Tsumariの略、もちろん画家モネとの語呂合わせである。

「原広司建築・唯一無二のサイトスペシフィックアートの美術館」とうたわれている。原広司は京都駅ビルなどを手がけている。サイトスペシフィックアートとは、文字どおり、ある場所で、その場所の特性を活かして制作する表現のこと。もちろん大地の美術館の拠点というコンセプトにぴったりはまっている。

建物はロの字型にぐるっと回廊が取り囲み、吹き抜けになっていて、中央には池が配されている。


そして中央の池に展示された作品はこれ。レアンドロ・エルリッヒによる「Palimpsest:空の色」。

レアンドロ・エルリッヒの作品としては、金沢21世紀美術館の「スイミング・プール」が有名。あのプールサイドからプールの底のほうをのぞき込むと水のなかに人びとがいて、プールの底からも逆にプールサイドの人びとを仰ぎみることができ、不思議な感覚がうまれるというやつ。水に関する人間の錯覚をひねってみせるのが得意なんだな、きっと。

「Palimpsest:空の色」という作品は、この美術館という場所の特性を最大限に活かした作品。2階から見ると、回廊に囲まれた中央の池の水面に光が反射し、空や建物を鏡のように映している・・・。


・・・と思えてしまうのだが、実はそうではない。空や建物は水面に映る鏡像ではない。池の底に描かれた二次元の絵画なのである。われわれの水に関する錯覚を快くひねられた、してやられたという感動がうまれる。

なによりこの作品のいいところは、大地の美術館におけるもう一つの作品と美しく響き合っていることである。それについてはまた。

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