2024年7月23日火曜日

虎に翼(6)-戦後民法改正作業

 

 当時の困難な状況に立ち向かう寅子の活躍に胸がすく思いをしている人は多かろう。女性はとくにそうだろう。女性法曹はさらにその傾向が強いようだ。SNS上でも議論が盛り上がっている。

当時が女性法曹に困難な時代であったことは間違いない。しかしドラマを拝見していると、ある種大航海時代のようなチャンスに満ちていた時代であったことも疑いない。

弁護士と裁判官を両方経験した女性法曹は一定数いる。しかし民法改正作業にも関与したとなるとどうだろう?

弁護士や裁判官の仕事は司法というぐらいだから、法の執行作業である。これに対し、法改正作業は立法作業である。民法は基本法であるから、立法の基本作業である。一生のうちに司法にも立法も関与したとなると、その数はごくマレであろう(女性法曹が国会議員になったという例は増えつつあるが)。

ドラマでは新憲法制定後、これに適合させるため民法改正作業が行われ、寅子もこれに関与した。当時、自ら進んで裁判官採用願いを(人事課長の松山ケンイチに)提出した結果、司法省民事局(のちに最高裁民事局)の局付に採用されていたので。

関与したのは1947年(昭和22年)改正である。大改正である。法曹人生としては、これに関与できただけでも、法曹冥利に尽きるというべきだろう。

民法2条は、民法の解釈基準として、この法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等を旨として、解釈しなければならないと定めた。

そして、親族編・相続編の大改正がなされた。それまでの戸主中心のあり方から個人の尊厳と両性の本質的平等に基づくあり方へ。

いまでも遺産分割協議の際に、長男が全部取ってあたり前的な考えや、離婚の際の男性中心主義の考えの残滓がみられないわけではない。しかし、それらが正面きって幅をきかせることはない。先人たちの努力に敬意と感謝を捧げるべきだろう。

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