2024年9月25日水曜日

訪問看護ステーション研修(5)

  厚生労働省はミニマムスタンダードを定め、それを適宜改正して訪問看護ステーションのレベルアップを図っている。もってわれわれの生命・健康に直結する看護がきちんとなされるよう配慮がなされているのである。

 「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」(以下「本運営基準」という。)には、その目的を正面からうたった条項は見当たらない。しかし、保健師助産師看護師法の冒頭第一条は、この法律は、保健師、助産師及び看護師の資質を向上し、もって医療及び公衆衛生の普及向上を図ることを目的とすると定めている。ここから訪問看護ステーションについても、その資質を向上し、もって医療及び公衆衛生の普及向上を図ることを目的とすることは当然であると考えられているのかもしれない。

 本運営基準には、もう一つ大きな目的がある。訪問看護の利用者に情報を開示・提供し、その適切な選択権を保障しようという目的である。

 この点も、本運営基準には明示されていない。しかし、この点は医療法の第一条に規定がある。すなわち、この法律は、医療を受ける者による医療に関する適切な選択を支援するために必要な事項、医療の安全を確保するために必要な事項・・・を定めること等により、医療を受ける者の利益の保護及び良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図り、もって国民の健康の保持に寄与することを目的とする。訪問看護ステーションについて定める本運営基準も、これらの目的を有することは当然であるという理解であろう。

 ここから、本運営基準は「医療を受ける者による医療に関する適切な選択を支援するために必要な事項」や、「医療の安全を確保するために必要な事項」についても定めている。

 まず「医療を受ける者による医療に関する適切な選択を支援するために必要な事項」。この点は、①事業の運営についての重要事項に関する規程=運営規程をステーションごとに定めておけという第21条、②運営規程等の利用申込者の指定訪問看護の選択に資すると認められる重要事項をステーションの見やすい場所やウェブサイトに掲載しなければならないという第24条、③訪問看護の提供の開始に際し、あらかじめ利用申込者らに対し、運営規程等の利用申込者の指定訪問看護の選択に資すると認められる重要事項を記した文書を交付して説明を行い、当該提供の開始について利用申込者の同意を得なければならないと定める第5条等がそれである。

 つぎに「医療の安全を確保するために必要な事項」。この点は、①看護師等の行う指定訪問看護の方針について、緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならず、身体的拘束等を行う場合は、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないと定める第15条、②虐待防止のための措置に関する事項を運営規程に定めておけという第21条等がそれである。

 かくて国会ないし国民によるコントロールの届きにくい地下2階に展示されている作品たちなのであるが、なかなかよい作品がそろっていると思うのである。

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