「あの本読みました?」 去年4月からBSテレ東で毎週木曜にやっている。鈴木保奈美がMC。「東京ラブストーリー」(1991)のあの女優が?というカンジだったが、言葉のはしばしから読書好きということがうかがえる。
ゲストもすごい。今村翔吾、辻村深月、いとうせいこう、平野啓一郎、吉本ばなな、伊与原新、青山美智子、朝井リョウ、背筋、原田ひ香など、本屋の背表紙でしか知らなかった作家たちの本音がずらり。
自信をつけたのか、最初からそのつもりだったのか、本年1月には番組でとりあげた本のなかから「明日読みたくなった本」=あの本、読みました?大賞を決定。
第1回大賞は阿部暁子『カフネ』(講談社)。同作はその後4月に本屋大賞も受賞している。しかしながら番組をみてただちに「明日読みたくなった本」となったわけではない。
オビにあるとおり「『おいしい』と泣くことから再生は始まる」物語というので、料理をしない身としてはいささか興味がうすかった。そうしたおりの4月12日、娘から「読んだら貸して」とラインが舞いこんだ。あわてて本屋にかけこみ購入して読了した。
村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』の第2回テーマは「大切な存在の喪失」、主人公トオルの大切な存在である妻がある日失踪、その理由が分からない、この謎が大きな言動力となって、物語を動かしていく(NHKテキストから)と、きのう書いた。
『カフネ』もおなじ原動力である(妻ではない)。ネタバレは避けたいので、これ以上は書けない。オビにあるとおり『おいしい』と泣くことから始まる再生の物語である。
それにしても「カフネ」とは耳慣れない。それもそのはず、ポルトガル語。「愛する人の髪にそっと指をとおす仕草」のことらしい。日本語の美しさをいう人はおおい。しかしカステラや金平糖のほかにも、ポルトガル語に学ぶところはありそうだ。
0 件のコメント:
コメントを投稿