2012年10月31日水曜日
死者の書と耳なし芳一と草間弥生と。
死者の書のなかで,いちばんの目玉は
グリーンフィールド版というもの。
長~い羊皮紙に絵と字を書きつらね巻物にしたもの。
ちょうど日本の絵巻物のよう。
というか,時代からすると
むこうがはるかに先輩。
これはかなり後のもので
はじめのころは,このような書とはちがいます。
ミイラをおおう布や棺に
冥界を旅するための呪文が書かれていました。
ミイラをおおう布や棺に呪文を書くことで
悪霊退散!の効果があると信じられていたようです。
ん?
この話,どっかで聴いたような?
そうだ!
耳なし芳一だ。
平家の怨霊から身をまもるため,芳一が
全身にお経を書いたという,あの話にそっくり。
というか,時代からすると
むこうがはるかに先輩。
などと思いながら,福岡市美術館を出ると
そこには,松本でもみた草間弥生作品が。
(福岡市美術館2階出入り口から
大濠公園へむけて50mほどいったところ)
(なお,そこから左側へ50mほどいくと
佐藤忠良作品があります。ついでにどうぞ。)
(草間弥生展@松本については
10月24日の記事をご覧ください。)
黄色のボディに黒いドットをちりばめた
「南瓜(かぼちゃ)」。
このドット柄ですが
耳なし芳一のお経と同じ意味があるとか。
草間さんは、少女時代より統合失調症を病み
繰りかえしおそう幻覚や幻聴に悩まされてきたらしい。
芳一がお経で身をまもったように
彼女はドット柄で身をまもろうとしているのだそう。
そうか。そうすると草間作品の魅力は
耳なし芳一を介して,古代エジプトに源流があるのか?
2012年10月30日火曜日
『BOOK OF THE DEAD』
古代エジプト展@大英博物館
みてきました。
こんかいの目玉は
『死者の書』。
ちょっとジミかなと思いながら行ったら
これがめっぽう面白かったです。
簡単にいうと
「死後の世界」のガイド本。
死後の世界=冥界には
ヘビやワニなどの敵や苦難がいっぱい。
これらをやつけたり,やりすごしたりする
呪文やアイテムが満載。
まるでドラクエの「冒険の書」
あるいは攻略本のよう。
なぜこのような書が書かれたのか?
おそらく…。
国王:ヒトは死んだらどうなる?
神官A:そ,それは…。
国王:そちはクビじゃ!
神官A:ぎゃー。
国王:ヒトはしんだらどうなる?
神官B:そ,それは…冥界にまいります。
国王:ほう?して,冥界ではどうすればいい?
神官B:そ,それは…。
国王:そちもクビじゃ!
神官B:ぎゃー。
国王:して,冥界ではどうすればいい?
神官C:さすれば,かくかくしかじか…すればよいのです。
国王:おお,そうか!
では,それを書にしてまいれ。
…といったような成立事情が
あったと思われます。(ほんまかいな?)
エジプトの死生観,宗教観は
キリスト教のご先祖さまなのでしょう。
煉獄,10戒や最後の審判の
プロトタイプと思える考えがいっぱい。
『死者の書』に導かれて冥界を旅していると
まるでバージルの案内で煉獄,地獄を旅する『神曲』そっくり。
ただし,10戒に相当するのは46戒?
あまりに反省することが多すぎて覚えきれません。
これが10戒になったのは
宗教が大衆化するにしたがい簡略化されたのでしょう。
ちょうど浄土真宗が南無阿弥陀仏さえ唱えれば
悪人でも極楽にいけるようになったように。
最後の審判はミケランジェロのように劇的ではなく
ちゃんと秤で心の重さをはかって判定します。
これはギリシャ・ローマ神話の
正義の女神にちかいかな?
福岡市美術館で
11月25日まで。
2012年10月29日月曜日
『大鏡』
○○週刊誌が政治家○○氏のルーツを暴く
これに政治家○○氏,猛反発。
なんてやってますが
政治家のルーツが気になるのは王朝時代からのよう。
角川ソフィア文庫のビギナーズ・クラッシックス
シリーズが面白かったので,調子にのって読みました。
『大鏡』
(武田友宏さん編)
いまは知りませんが,ボクらの受験時代には
ラジオ講座というのがありました。
テキストを買ってきて
夜,ラジオを聞きながら学習というもの。
『大鏡』といえば
そんなかで超断片的に読んだことがあるだけ。
面白いとおもう暇もなく
何の事やらさっぱりでした。
こんかい,読んでみて
山﨑豊子さんの『華麗なる一族』かという感じ。
基本的に,藤原道長をよいしょする意図で
書かれているけれど,それだけではない面白さ。
政治家を語るには
やはり源流を尋ねる必要があるのでしょう。
中臣鎌足を始祖とする藤原氏について
良房,基経ら摂関政治の流れを脈々と活写。
もちろん,藤原氏の隆盛は
他氏を排斥していく政治闘争でもあります。
なので,わが太宰府にゆかりの
時平と菅原道真の暗闘も書かれています。
正面きって政治を語ると
どこからどんなおとがめがあるか分からない?
それはいつの世もあるようで
歴史の神々が語るというスタイルでした。
2012年10月26日金曜日
喪の途上にて
きのうは医療問題研究会の
調査事例検討会でした。
10件ほどの事例が持ち込まれ
事案の分析や調査方針を議論。
医師,薬剤師をまじえて
若い弁護士らが中心に。
医療の途中で,命を失ったかたがたのご遺族
あるいは,重い障害を負ったご本人。
これらの方々は,そのショックから立ちなおれず
なにか方策があったのではないかと悩んでおられます。
われわれが調査し,議論するなかで
医療の限界というものが見えてきます。
医療の限界を超えた事態は
不可抗力であり,責任を問うことができません。
おおくの医事紛争は
ここのところの納得がなかなか得られていません。
その納得をすこしでもしていただくための
熱い議論が遅くまで続きました。
タイトルはさる本から拝借
著者は精神科医です。
弁護士はカネ,カネといって
ご遺族らの心情に寄りそおうとしないと批判されています。
しかし,昨夜の議論に参加してもらえば
そのような批判がまちがいであるとご理解いただけると思います。
2012年10月25日木曜日
せつなさ
草間弥生展のつづき。
というか,余話。
ボクのばあい,草間展にいって,単純に
その表面的なハデさに圧倒されました。
知りあいとのやりとりによると
そうとうの人たちが草間さんを知っていました。
たまたまやっていたので見てみた
というボクのレベルとおおちがい。
またまた
不明を恥じました。
高校の同級生が八ヶ岳山麓に住んでいて
そのブログによると,やはり草間展にいったそうな。
そこで感じたのは
さつなさ,だそう。
せつなさ?
ボクが感じたのと真逆…。
しかし,しばらくたって
その意味が頭のなかに浸透してきました。
そうか!
そう観るのか。
ひとつのキーワードが
まったくちがう世界をみせてくれるものです。
2012年10月24日水曜日
「草間弥生~永遠の永遠の永遠」展
「草間弥生~永遠の永遠の永遠」展
@松本市美術館。
さる用事(いつもやつですが)で松本にいたら
やってたので観ました。
すごい作品群
すごいです。
草間さんは松本出身で
松本市美術館の前庭等にも作品が。
この企画は美術館だけにとどまらず
パルコやホテルのロビーなどでも。
誰でもというわけにはいきませんが
松本に行く用事があれば,是非どうぞ。
なお,上の写真ですが,まるで
草間さんのナマ写真に見えるでしょ?
じつは
ポスターなんです!
赤白ドット柄の反転したデザインが
立体感を生んでいるですねぇ。
2012年10月23日火曜日
「お伽草子ーこの国は物語にあふれているー」展
きのうは東京出張だったので,ついでに
「お伽草子ーこの国は物語にあふれているー」へ。
六本木のサントリー美術館で
11月4日まで。
おとぎ話といえば
一寸法師,浦島太郎が定番。
室町時代,庶民が力をつけ,自信をえたことが
一寸法師の話の背景にあると知り,なるほど。
平安貴族による源氏物語の世界から
政治,文化の変化を背景として,お伽草子が誕生したらしい。
庶民はいそがしいため
語りも簡潔。
文章だけでなく
絵でも表現。
日本のマンガは質がたかいと世界で評判だけれども
そのルーツはお伽草子の絵巻にあったのかも。
酒呑童子など
初代・戦隊モノまちがいなし。
2012年10月18日木曜日
『目くらましの道』
フェルメールのオランダから北へ
バルト海をこえるとスウェーデン。
かの国の犯罪小説,へニング・マンケルの
刑事ヴァランダー・シリーズから。
『目くらましの道(上・下)』
(創元推理文庫)。
以前,このブログでも
『背後の足音(上・下)』のことを書きました。
こんかいは,その新作ではなく
旧作。
ジュンク堂に平積み(?横積み)に
並べてあったので,手にとりました。
スウェーデンといえば,
『長くつ下のピッピ』や『ニルスのふしぎな旅』。
われわれの学生時代だと
高福祉国家。
…と,いいイメージだったのですが
経済がグローバル化してからはやはり変調が。
社会経済全体がきしむなか
猟奇的な連続殺人が発生。
社会経済全体の変調のなかで
警察組織じたいも揺れています。
犯罪の背景には
グローバルな人とカネの動きがあります。
犯罪者の心理をはあくするうえでも
いままでの考えが通用しない。
というわけで
手に汗にぎります。
でもスウェーデンの美しい夏の描写には
心ひかれます。
2012年10月17日水曜日
フェルメールの大きさ
九州国立博物館で,フェルメールの
「真珠の首飾りの女」を展示しています(特別展)。
知人の母上がいった感想が
「ちょっと小さかった。」のだそう。
フェルメールのために
弁解を一言。
画が小さかったのは,かれが17世紀
オランダの画家ゆえ,やむをえないんですね。
それまでは,絵画のパトロンといえば
教会や王侯。
飾る場所といえば
寺院や王宮。
関心事(テーマ)といえば
神や神話。
お金もふんだんにあるし
場所も広い,テーマもおおきい。
というわけで
大作が多かったんですね。
それが,17世紀オランダとなると
パトロンは商人たち。
長崎出島に貿易船を派遣した人たち
もいたかも。
教会や王侯にくらべれば
資金規模がちいさい。
飾る場所も,家庭の居間や食堂
(フェルメールが描いたような)。
テーマも
市民的,日常的。
カトリックではなく
プロテスタント。
どうしても
小さくて静謐な絵にならざるをえません。
というわけなんです。
でも,偉大な画家であることは間違いありません。
2012年10月16日火曜日
サービス2つ
せんじつ,むかし東中洲にあって
いま浄水通に移転したさる料理店に行きました。
別にふかい事情があるわけではないのですが
なんとなく移転してからは行きそびれていました。
店に入ると,すぐ女性スタッフが
「あら,おひさしぶりです。」。
訊くと,移転してから
2年半経っていました。
そんな時間の経過をまったく感じさせない
みごとな接遇でした。
料理はもちろん絶品
また行こうと思ったのでした。
まえに書いたように
台風で飛行機が飛びませんでした。
払戻しを受けようと
JALの窓口に電話しました。
わずらわしいマニュアルどおりの対応をされると
思いきや,これまた,みごとな接遇。
相手の頭のなかをさっと読みとって
それに応じた接遇をする,って
なかなか優れたサービスと思います。
なかなかお目にかかれませんが。
2012年10月15日月曜日
『最強のふたり』
別のところへ行こうと思ったら
差し支えができて,またまた映画。
時間の関係もあり,天神東宝で
『最強のふたり』を観ることに。
偶然みたわけですが
近年いちばんの作品でした。
ひとりは,パラグライダーで神経を損傷して
頚から下すべてが動かない,狷介な大富豪。
もうひとりは,その介護人として雇われた
読み書きもあやしい貧しい黒人の若者。
おもい障害をもつ者の介護という話題ながら
若者のこだわりなき対応がユーモアをうみます。
まったく違うふたりですが
すばらしいハーモニーをかなでます。
実話にもとづくものだそうで
そのことも感動を深めます。
フランス映画は
『潜水服は蝶の夢を見る』以来。
そういえばテーマも似ているし
映像の美しさも似ています。
お奨めします。
※映画の話題になったときに
子どもにも奨めました。
どんな映画?ってきかれたので,こんなこんな。
ああ,感動モノね,って。
まあ,そういえばそうだけれど
そうまとめられると,ちょっと違うんだよね。
2012年10月12日金曜日
ごちそう
きのうは,ある事件が解決したので
ごちそうになりました。
さる業界の代表者の方なので
業界の裏話,苦労話,いろいろ勉強になりました。
いつもなにげなく通っている場所ですが,これからは
“秘話”をおもいうかべながら歩くことになりそう。
事件そのものには無関係ながら
共通の知人らも参加。
会話のなかでも,ボクの高校時代の友人と
知りあいであることなどが判明。
フェイスブックを通じて同窓関係が判明し
ミニ同窓会が増えているらしい。
フェイスブック時代の人のつながり
を実感しました。
料理や夜景もさることながら
人のつながりこそがいちばんのごちそうでした。
2012年10月11日木曜日
ときには映画を
さいきん
街を歩いていると
この土日はどこに登ったんですか?
と,声をかけられる。
そんなに,登ってません!
と,懸命に否定。
毎週登っている,といわれると
争わざるをえません。
(毎週のように登っている,といわれると
認めざるをえないけれど。)
その証拠に
この連休は山に登らず,映画を3本観ました。
『ボーン・レガシー』
『天地明察』
『ハンガー・ゲーム』
この3本。
ウソと思うなら
なかみについて,質問してみてください。
それぞれについて感想はありますが
きょうは『天地明察』の岡田准一さんの話題。
2014年放送のNHK大河ドラマが
岡田准一さん主演で『軍師官兵衛』に決定したそうな。
といっても,ピンとこないかもしれませんが
福岡藩の初代藩主・黒田長政の父,黒田如水のこと。
タネ本はやはり司馬遼太郎の『播磨灘物語』
でしょうか。
いずれにせよ,戦国物で太閤記を側面から描くので
ヒットが期待できるでしょう。
晩年は太宰府天満宮内に居を構えていたそうなので
福岡,太宰府観光の応援になればいいですね。
※『ボーン・レガシー』はキャナルで観たのですが
エルガーラで後輩に遭い
「きょうは山じゃないんですか?」と訊かれました。
ちがいます。
2012年10月10日水曜日
『新しい生物学の教科書』
今年のノーベル医学生理学賞受賞を
京大iPS細胞研究所長の山中伸弥教授(50)が受賞。
きなくさいニュースがおおかったなか
ひさしぶりの明るいニュースですね。
たまたまですが,池田清彦教授の
『新しい生物学の教科書』(新潮文庫)を読んでいるところでした。
ボクの大学時代の記憶では(あまりアテにならないが)
科学といえば物理学でした。
でも,いまや科学といえば生物学
(なのかな?)
どこまで理解できたのかは?ですが
とてもスリリングでおもしろく読みました。
生物学がこれほどスリリングになったのは
やはり遺伝子の解析ができるようになったことがおおきいのでしょうね。
池田教授のお立場は構造主義生物学
まるで刑法の教科書のように体系的です。
進化についても,遺伝子のランダムな組み換えによるものではなく
ルール(構造)の変化によるものと考える立場です(たぶん)。
そのような立場から,
種とは何か?
遺伝と変異
減数分裂
性の決定
進化のしくみ
生命の起源と初期の進化
脳と心…
といった生物学上の論点(難問)を
こ気味よく解明・推理していかれます。
あわせて,検定教科書が記述を簡単にしようとして逆に
理解をむずかしくしているという批判もなさっています。
ボクも受験期,覚える量を減らして
暗記に走っていたことを反省。
無意味化した知識の断片を覚えることは苦痛でしかなく
意味のある体系を理解したほうがよほど近道。
『風姿花伝』はここでも通用し
科学としての美しさ,珍しさ,楽しさこそ「花」なんですね。
2012年10月9日火曜日
『風姿花伝』
「能のかたち」の
つづき。
『風姿花伝,謡曲名作選』(小学館)
「日本の古典をよむ」シリーズ。
これも,展の出口のところにあった
販売コーナーで買ったもの。
名作選は,『井筒』と『隅田川』が前書と重複していて
『忠度』(修羅物)と『船弁慶』(切能)が新作。
『風姿花伝』はいうまでもなく
世阿弥が記した能楽論。
秀吉が能のパトロンだったと書きましたが
世阿弥のころパトロンは足利義満・義持だったんですね。
おおくのライバルたちと競いながら
一座をアピールするなかで,芸がみがかれていきます。
もともとは家業をつぐ
子どもに教え諭す目的で書かれたもの。
きびしく稽古にとりくむことを説き
慢心をきびしく諫める論旨は,どの業界にも通用する教えが満載。
美しさ,珍しさ,楽しさ,すなわち「花」のある芸を
観客の視点を中心に論じる姿勢は,まったく古びていません。
少年期にはじまり,引退まじかまで
芸道を極めつづける教えには頭がさがります。
珍しさを観客に感じさせるには
タネあかし,ネタばらしは当然さけたいところ。
秘してこそ花
というわけです。
世阿弥は,『風姿花伝』が古典として
誰もが読めるようになるとは夢にもおもわなかったでしょうね。
今夜あたり
夢枕に立って嘆くかも。
2012年10月5日金曜日
『冥土めぐり』by.福岡県筑紫野市の弁護士
鹿つながりで,
鹿島田真希さんの『冥土めぐり』(河出書房新社)。
今期の芥川賞受賞作。
いかにも,らしい作品でした。
直木賞がレコード大賞なら
芥川賞は新人賞。
前者が練達の作家による
うまい作品なのに対し
後者は新進気鋭の作家による
前衛的・実験的作品がおおい。
(芥川賞作品は,そう思って読まないと
なんじゃこれ?と思うと思います。)
(ボクの後輩には,時間のムダだから
読まないという人もいます。そうかな?)
この作品も
こきこきしていました。
テーマは,母(血)の束縛からの娘の自立
でしょうか?
なんか最近,女流作家のあいだで
このテーマが流行っているような。
このテーマにかぎらず,社会問題をきっけけにするのか
先行する他の作品にインスパイアされるのか…。
母・娘ではなく,父・息子という組合せであれば
旧約聖書からの伝統的なテーマ。
好きなのはスタインベックの
『エデンの東』。
父の愛を切望しては
得られない(と思い込んでいた)主人公。
かれが死の床にある父から
贈られた言葉。
「ティム・ショール」
(道は開かれている。)
スタインベックらしい
みごとなラスト。
これは深く,いい言葉です。
そう,道は開かれているんです。
弁護士 浦田秀徳
2012年10月4日木曜日
奥山に紅葉ふみわけby.福岡県筑紫野市の弁護士
燧ガ岳の中腹をあえぎあえぎ登っていると
達者な女性が追いぬいていきました。
駅の階段の1段抜かしぐらいの
勢いです。
年齢はボクとおなじか
すこし上か?
人間,修練すれば
いくらでもタフになれるものですね。
ところで,その人は背中に
「シカ監視員」の腕章をぶらさげていました。
そのためのアイテムでしょうか
双眼鏡も。
シカといえば
可愛いイメージ。
でも増えすぎると
問題をひきおこします。
さいきんは,どこの山も
「鹿害」に頭をいためています。
シカが増えすぎて,植物の新芽などを
食べ尽くしてしまい,植生をこわしてしまうのです。
ちかく日光の湿原などは
金網をはりめぐらしているぐらい。
尾瀬でもやはりおなじ問題があり
「シカ監視員」なる人たちが必要なのでしょう。
その後,シカがいないかと気をくばりましたが
肉眼で目撃することはかないませんでした。
が,夜半,尾瀬湿原のなか
弥四郎小屋で寝ていると聞こえてきました。
キャヒィ~~ン。
シカの鳴き声。
牡鹿がメスを求めているのでしょうか
もの悲しい。
奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の
声きく時ぞ 秋は悲しき
猿丸太夫
シカの鳴き声もある程度はなれると
このように風情があります。
でも,ほんのちかくで聞くと
女性の叫び声にきこえます。
いちど,祖母山でひとりテントで寝ていると
すぐ横でシカがキャ~~と鳴き,驚いて目が覚めました。
なにごとも(シカの数も鳴き声も)
過ぎたるはおよばざるがごとし。
弁護士 浦田秀徳
2012年10月3日水曜日
秋が来てもby.福岡県筑紫野市の弁護士
(尾瀬ヶ原,後方は燧ガ岳)
で,嵐のなか東京に
なぜいたのか?
じつは,尾瀬の帰り
だったんですね。
尾瀬がどこにあるか?
ご存知ですか?
答えは
福島,新潟,群馬の3県の境なんですね。
もともと高山を国境,県境とすることが自然なので
こういう例はたくさんあります。
三国とかいう地名は
ほぼそうですね。
尾瀬は,高地にある盆地で,歌で有名なとおり
尾瀬ヶ原という湿原や尾瀬沼があります。
風光明媚で
国立公園,日本百景に選ばれています。
あとあまり知られていないようですが
百名山が2つもあります。
燧ガ岳(2346m)と
至仏山(2228m)。
尾瀬ヶ原は
この2つの山に囲まれています。
イメージとしては九重の,三俣山,大船山と
坊ガツルの関係によく似ています。
歌に,♪夏が来れば…とうたわれるように
初夏が美しい。
ミズバショウやニッコウキスゲだけでなく
たくさんの高山植物が咲き乱れます。
でも秋も捨てがたい。
これがまたいいんですねぇ。
弁護士 浦田秀徳
2012年10月2日火曜日
台風17号の余波by.福岡県筑紫野市の弁護士
とある事情(いつもの事情ですが)で
日曜は東京にいました。
台風17号が接近していたため
在来線のおおくは終日運休。
そうでないところも
つぎつぎ運休に。
そのころ,台風は四国方面から
和歌山に上陸したとか,他の人が話していました。
そうしたなか
午後5時以降の飛行機も運航とりやめに。
帰りの足をなくしたボクは
いまだ動いていた新幹線に飛び乗りました。
台風に向かっていくのだから
どこかで動かなくなるのは覚悟のうえ。
それでも新幹線は
すごいです。
風速30メートルまでは速度を落としつつも
運行できるのですから。
でも案の定,風速は30メートルを超え
先を行く列車が名古屋~静岡の各駅であいついで停車。
かくて自分が乗る列車も新富士駅で動かなくなり
そこで3時間,風が弱まるのを待つことに。
午後9時30分ころようやく動きだしたところ
新大阪駅で運行とりやめに。
うっ…。
あす(月曜)は,午前9時から事務所で打合せが。
JRさんは休憩列車を用意するとのことでしたが
風呂にも入りたく,なんとかホテルを探して宿泊。
調べてみると,翌朝の朝一番は
6時発の「みずほ」。
みどりの窓口で予約しようとしましたが
指定席はすでに満席。
やむなく自由席に乗ろうと朝5時まえに起き
5時20分に駅に駆けつけました。
が,改札が開くのを待つ人たちで
すでに長蛇の列。
ま,きのう同じメにあった人たちが
たくさんいたわけです。
しかたなく並んで
改札があくや自由席に急行。
しかしそこもすでに
長蛇の列。
昨夜,休憩列車のなかで泊まった人たちが
すでに並んでいたのでした。
なんとか乗り込むと
300%くらいの乗車率。
運良く岡山でおりた人の席にすわり
ようやく一休み。
博多駅に着いたのが
8時25分。
そこから35分の特急かもめに乗り
二日市に着いたのが45分ころ。
その間,事務所に電話を入れ
顧客に事情を説明して待ってもうらうよう依頼。
二日市で普通電車に乗り換え
原田駅まで。
そこからタクシーに乗り
自宅で着替えて事務所まで。
事務所についたのが
9時17分ころでした。
顧客には平謝り
なんとか事なきをえたのでした。
弁護士 浦田秀徳