鹿つながりで,
鹿島田真希さんの『冥土めぐり』(河出書房新社)。
今期の芥川賞受賞作。
いかにも,らしい作品でした。
直木賞がレコード大賞なら
芥川賞は新人賞。
前者が練達の作家による
うまい作品なのに対し
後者は新進気鋭の作家による
前衛的・実験的作品がおおい。
(芥川賞作品は,そう思って読まないと
なんじゃこれ?と思うと思います。)
(ボクの後輩には,時間のムダだから
読まないという人もいます。そうかな?)
この作品も
こきこきしていました。
テーマは,母(血)の束縛からの娘の自立
でしょうか?
なんか最近,女流作家のあいだで
このテーマが流行っているような。
このテーマにかぎらず,社会問題をきっけけにするのか
先行する他の作品にインスパイアされるのか…。
母・娘ではなく,父・息子という組合せであれば
旧約聖書からの伝統的なテーマ。
好きなのはスタインベックの
『エデンの東』。
父の愛を切望しては
得られない(と思い込んでいた)主人公。
かれが死の床にある父から
贈られた言葉。
「ティム・ショール」
(道は開かれている。)
スタインベックらしい
みごとなラスト。
これは深く,いい言葉です。
そう,道は開かれているんです。
弁護士 浦田秀徳
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