「能のかたち」の
つづき。
『風姿花伝,謡曲名作選』(小学館)
「日本の古典をよむ」シリーズ。
これも,展の出口のところにあった
販売コーナーで買ったもの。
名作選は,『井筒』と『隅田川』が前書と重複していて
『忠度』(修羅物)と『船弁慶』(切能)が新作。
『風姿花伝』はいうまでもなく
世阿弥が記した能楽論。
秀吉が能のパトロンだったと書きましたが
世阿弥のころパトロンは足利義満・義持だったんですね。
おおくのライバルたちと競いながら
一座をアピールするなかで,芸がみがかれていきます。
もともとは家業をつぐ
子どもに教え諭す目的で書かれたもの。
きびしく稽古にとりくむことを説き
慢心をきびしく諫める論旨は,どの業界にも通用する教えが満載。
美しさ,珍しさ,楽しさ,すなわち「花」のある芸を
観客の視点を中心に論じる姿勢は,まったく古びていません。
少年期にはじまり,引退まじかまで
芸道を極めつづける教えには頭がさがります。
珍しさを観客に感じさせるには
タネあかし,ネタばらしは当然さけたいところ。
秘してこそ花
というわけです。
世阿弥は,『風姿花伝』が古典として
誰もが読めるようになるとは夢にもおもわなかったでしょうね。
今夜あたり
夢枕に立って嘆くかも。
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