2025年3月27日木曜日

多良岳~経ヶ岳縦走@怪鳥会(3)ヒメ・シャラ

 


 NHK高校講座 日本史で「平氏政権の登場」をやっていた。

https://www.nhk.or.jp/kokokoza/nihonshi/contents/resume/resume_0000000571.html?lib=on

 日本史上初の武家政権だったが、おごれるものは久しからず、あっけなく歴史から姿を消してしまった。

 「平家物語」は有名な冒頭、平家の運命を沙羅双樹の花の色にたとえている。

 沙羅双樹の花は、朝に開花し夕方には落下する一日花。はかない。無常。まさしく平家の運命のようである。

 日本の寺院において沙羅の樹は、ナツツバキ(夏椿)をもってあてられている。ナツツバキは、読んで字のごとく、夏にツバキと似た花を咲かせる(ツバキの花期が冬~春であるのに対し)。 

 ただし、本場インドや中国の沙羅の樹は別物。これはやむを得ない。沙羅の樹の知識は日本の留学僧たちが持ち帰ったものだろう。

 いまでいえば彼らは宗教学の学生だったかもしれないが、生物学の学生ではない。中国でこれが沙羅の樹だよと学んだものを、日本のナツツバキと混同してしまったのかもしれない。

 ヒメシャラは、ヒメ・シャラである。ナツツバキの花より小ぶりな花を咲かせる。よってヒメ・シャラである。いまどきこのような命名をすると、男女平等理念との整合性を指摘されそうだ。

 考えすぎかもしれないが、植物界における接頭辞には注意が必要だ。カラスザンショウ・カラスウリとか、イヌビワ・イヌマキとか。カラスやイヌなどの接頭辞がつくものは、本物に似ているが劣ったもの、人間のものではないというニュアンスが含まれているから。

 沙羅、あるいは姫沙羅は、夏に花を咲かせるぐらいだから、落葉広葉樹・夏緑樹である。いまは葉を落としている。他の木々が暗色であるのに、ひとり褐色系で、しかもお肌つるつる。花がない季節でも目立つ。

 幹のお肌がつるつるであるところはサルスベリやリョウブにも似ている。この樹をサルスベリと呼ぶ地方もあるようだ。

 夏には花を咲かせるのであるが、実は花を見つけるのはむずかしい。高木であるし、夏には葉が茂っているから。落花をみて気づくことが多い。

 ナツツバキの花言葉は、「愛らしさ」「はかない美しさ」「哀愁」。

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