2011年12月16日金曜日
『クライマーズ・ハイ』(3) by.山歩きの好きな福岡の弁護士
弁護士になりたてのころ
こんな事件がありました。
ある男性(夫)からの依頼。妻が警察官と不倫したので
慰謝料を請求したいとのことでした。
相手が相手なので
妻の証言だけでは弱い。
証言の裏をできるだけ
とることにしました。
いっしょに入ったという
ラブホテルにも行きました。
保安上ラブホテルは自動車のナンバーを控えているので
当日、証言どおりの自動車が出入りした裏付けが得られました。
家出中の妻の仕事先をその警察官が紹介していたので
そこへも行きました。
中洲・南新地のソープで
ま昼間から調査に行くのはちょっと気がひけましたが。
当時は、キャナルシティ(96年オープン)が建つ前ですから
いまよりずっと入りにくい雰囲気でした。
かくして証拠を固めたうえ交渉しましたが
ラチがあきません。
そこで提訴しました。
予想されたことですが、被告側は頑強に否認。
それでも証人尋問が終わったところで
裁判官が被告側に和解を勧告しました。
「妻をソープ(受付ですが)に紹介していて
男女関係が無かったという心証はとれない」と。
その結果、被告側も観念して
慰謝料を支払う話となりました。
被告が金策をするのを待つあいだ
もう一期日が必要になりました。
その間、どこからか事件のことを聞きつけて
ある記者くんが取材にきました。
「慰謝料を払う以上、不倫を認めたことになりますよね?」
「ま、普通そうでしょう。」
ところがその後、記者くんは被告側の弁護士からも
アホなことに、コメントをとろうとしたらしい…。
しばらくして裁判所から、和解条項に「和解成立後、事件のことを
口外しない」という1項を入れたいと連絡がありました。
被告側の弁護士が裁判官に泣きついてきたそうな。
ま、普通そうなりますよね。
依頼人の意向を尊重して
不本意ながら和解を成立させました。
和解後、記者くんから和解内容の確認を求められましたが
「ノー・コメント」。
その対応えに、記者くんはプリプリしてましたが
「お門違いでしょう。」といいたい気持ちでした。
マスコミとのお付きあいの難しさを学んだ
最初の経験でした。
(注:相手方のコメントをとるなといっているのではなく
時期が悪いといっていだけなので、念のため)
ちくし法律事務所 弁護士 浦田秀徳
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