2011年1月13日木曜日
男の顔の価値
ゲゲゲの鬼太郎が昨年、脚光をあびたのは
「内助の功」があったればこそ。
「内助の功」という言葉は山内一豊の妻・千代が持参金で買った
高価な馬が織田信長の目にとまり、出世を助けたという話から。
(NHK大河「巧妙が辻」では仲間由紀恵さんが演じてました)
山内一豊は土佐の藩祖なので、「内助の功」なかりせば
坂本龍馬もなかったかもしれません…。
しかしきょうび、グローバル・スタンダードとして
男女共同参画社会が求められるていますので
離婚相談のさいなどにもこれに類する言葉はつかわないよう
にしています。
こうした現状のなか
男と女の顔の価値に差があるのか?
これは難しく危ない問題ですね
私のような男がうかつに女性と議論すると叱られそうな。
そんな問題に果敢に切り込んだ判決が
元旦の判例集に紹介されていました。
昨年5月27日に言い渡された京都地裁判決で
労働災害(労災)による後遺障害の補償に関するものです。
労災とは、業務上の事由または通勤途上で
負傷、疾病、障害、死亡する災害のことをいいます。
障害(いわゆる後遺症)とは、治療により症状が固定したのち
なお残ってしまった不自由な症状のことです。
障害は重症度におうじて1級から14級までランクわけされ
ランクごとに補償金額が増減します。
問題となったのは「外貌醜状」という障害
簡単にいうと顔のキズ、大きなキズとそうでないキズの2種類あります。
従前、男性と女性ではその障害のランクにつぎのとおり
差がありました。
7級 女性の大きなキズ
12級 女性のキズ 男性の大きなキズ
14級 男性のキズ
このような男女を区別した扱いでよいのか、あるいはよくないのか?
それが問題。
労災だけでなく、交通事故でもおなじ
私も以前に、交通事故で似たような争いをしたことがあります。
労災のばあい、厚生労働大臣がランクわけをおこない
それに基づいて労働基準監督署が障害の認定をおこないます。
それゆえ、裁判としては国を被告とした行政訴訟になり
行政のやり方が憲法に違反しているのかどうかの憲法訴訟になります。
憲法14条は、すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別
社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において差別
されないと定めていますので、これに違反するのかどうか?
(中略)
…という困難な審理のすえ
京都地裁が出した結論は違憲。
ただし現状では男女の補償に差をもうけることは一定理由がある
しかし5ランクも差をもうけることは不合理である、という理由です。
男女の顔の美醜をこれほどまでに差別してはいけん(違憲)!
というわけです。
被告の国は控訴せず、判決は確定
違憲判決が一審で確定するのは異例です。
国を被告とする裁判で違憲判決を書くのは
たいそう勇気がいります。
裁判長は同期・同クラスなので
その勇気に賞賛の拍手をおくりたいと思います。
最近は顔をあわせませんが
きっといい顔をしていることでしょう。
同級生の活躍に自分も頑張らねばと励まされます。
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