2025年3月21日金曜日

馬籠宿~岐阜・犬山~湖北の旅(7)湖北の十一面観音めぐり

 

 最終日は湖北へ。初日が島崎藤村の『夜明け前』、2日目が司馬遼太郎の『国盗り物語』とすれば、最終日は井上靖の『星と祭』の旅である。

 会社社長の架山は琵琶湖の遭難事故で、大切な娘を失う。娘の遺体は七年経っても上がってこない。死を受け入れられない架山は、それを「生と死」の間に存在する〝もがり”の期間と捉え、心の中で娘と対話を始める。ある日、娘とともに死んだ青年の父親・大三浦に誘われ、琵琶湖近くの古寺で十一面観音に出会う・・・(グーグル・ブックより)。

 木之本の街中を抜け、田舎道を歩く。春まだき、雪が野山をおおっている。前方にようやく己高山(こだかみやま、923m)が見えてきた。同山は近江国の鬼門(東北方角)にあたる。

 山城国(京都)の鬼門にあたる比叡山に延暦寺があるように、己高山には古代・中世と山岳信仰の霊地があった。


 山上にあった鶏足寺の伽藍は消失し廃寺になっている。仏像類は麓の己高閣(ここうかく)及び世代閣(よしろかく)に収蔵され、地元住民の手により守られている。

 本尊の十一面観音立像は己高閣に、薬師如来立像は世代閣に安置されている。輪番と思われる地元のおじさんが訥々と解説する。京都の喧噪とは異なる静かな空間に立つ仏たちは宗教の原点を考えさせる。

 このあと鶏足寺(上記山上のものとは別)を経て、石道寺へ。井上靖が村の娘にたとえた十一面観音がまつられている。これまた地元の人たちによって守られている。



 渡岸寺観音堂。ここの十一面観音立像は国宝である。横からも後ろからも拝することができる。十一面をくまなく拝見するには横からも後ろからも拝することが必要。やはり静謐。

 https://douganji-kannon.sakura.ne.jp/custom3.html

 前日の犬山城、岐阜城とは真逆の空気感。

 このあたりは織田・徳川と浅井・朝倉の両軍が激闘した姉川に近い。戦争の惨禍のなか、村人たちは必死になって観音たちをお守りしたという。

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