2017年12月8日金曜日
源氏物語への挑戦,筑紫野市の弁護士の読書
(京都嵯峨野の野宮)
数年前から正月の読書は古典に挑戦するようにしている。若いころはそのうちそのうちと思っていた。が,50代も後半になってくると,そのうちっていつ?という感じになってきたので,そろそろ挑戦しないとなぁと重い腰をあげた。1昨年が『失われた時を求めて』,昨年は『平家物語』を読破した。
この流れでことしは『源氏物語』に挑戦ちゅう。だけど,あれ?むずかしい・・。じつは高校時代に与謝野晶子訳で読んだことがあり,もうすこしわかるかなと思っていた。それに『平家物語』と『源氏物語』の間には200年くらいの間だろうか。むろん武士の台頭といったことはあったろうけれど,日本語がそれほど変化したとも思えず,平家が読めるのであれば源氏も読めるはず。と思ったのが甘かった。
ということで,まずは角川文庫『源氏物語 ビギナーズ・クラッシクス 日本の古典』から。その後,どうするかなぁ?とヤフー知恵袋におうかがいをたてたところ,わかりやすいご託宣。
これにしたがい,いまは田辺聖子の『新源氏物語(上・中・下)』(新潮文庫)の中巻を読んでいる。これはまったく読みやすい。そうかそうだったのかと思うことしきり。トイレのなかでしんみりして友人・知人の死に思いをいたし,人生のはかなさなどを考え,なかなか深いことを考えているなぁと自賛していたら,そういえば,源氏にもおなじようなことが書いてあったなぁと思い当たり,恥じ入るということもしばしば。
『失われた』のなかで,途中,主人公とは関係なく,「スワンの恋」というエピソードが挿入されていて,他人の恋物語なのだけれども,主人公の恋の行く末そのままであるという趣向がある。『源氏』でこれに当たるのが有名な「雨夜の品定め」。高校時代に読んだときは,全体の王朝雰囲気を壊す下世話な場面と思ったけれども,じつは光源氏の恋愛遍歴の予告編であることがわかった。なるほど。
田辺・新源氏の後は,谷崎潤一郎,瀬戸内寂聴,林望の3訳の3択なのだが,福岡ジュンク堂でパラパラとななめに読んでみて,林望訳にした。1冊買ったものの,装丁が気に入らない。なんとなくちぎれそう。ま,いいや。
肝心の原文は,現在,岩波文庫が改訂作業中で,全9巻のうち2巻までしか出ていない。というようなことで,とても正月までに読み終わらない。再来年正月までに終わるかどうか・・・。
あっ,写真は野宮。伊勢に旅だつ六条御息所との別れを源氏が惜しんだ場所。黒木の鳥居がめじるし。平家を読破したことで,京都観光はもちろん,謡曲の理解などいろいろと世界がひろがった。源氏はどこまで世界をひろげてくれるのか,楽しみ。
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