2017年12月4日月曜日
きょうからあなたも強制わいせつ罪,筑紫野市の路上で
(宝厳院の紅葉)
ちくし法律事務所の事務所の弁護士4人で,いつものように昼食へ行く途中,女性弁護士Bがぼくのお尻を触りました。いつもだったらここで,「なにをする,やめろ!」,「スキンシップだから,いいやん」などとわけがわからぬやり取りになります。
このようなやり取りをみかねたのか,最高裁判所はその前日に判例変更をしていたのでした。ちょっと難しいけれども,以下おつきあいください。
強制わいせつ罪の成立要件について,最高裁は長らく性的な欲望をみたす目的が必要であるとしてきました。おなじように尻を触っても,スキンシップが目的であれば,それは性的な欲望をみたすのとは違うから強制わいせつ罪が成立しなかったわけです。
ところが,11月29日,最高裁は判例を変更し,強制わいせつ罪が成立するのに性的な欲望をみたす目的は必ずしも必要ではないとしました。つまり,尻を触りさえすれば,基本的には強制わいせつ罪が成立しうることになります。 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171129/k10011239811000.html
性的な欲望をみたす目的のことを刑法学上,超過的内心傾向と呼んでいます。この問題は,刑法は人格を罰するものか,行為を罰するものかなど刑法の根幹に関係する論点です。
いずれにせよ,この判例変更により,スキンシップの目的で尻を触っているなどという言い逃れができなくなることは間違いありません。これで今後,ぼくの尻は刑法により完璧に保護されることになります。
などと,最高裁判例の変更について情報交換し,刑事実務への影響などを議論しつつ,「殺しのカレー」に向かったのでした。
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