2012年3月7日水曜日
言霊の力 by.刑事事件にも取り組む福岡の弁護士
例の寝言の研究をおこなった
先月のパートナー会議でのこと(2月24日)。
受任事件の一覧表をみながら,事務局Aさんが
「さいきん,刑事事件がありませねぇ。」とぽつり。
「ちょっと,待ったぁ,その一言!」
と止めましたが,時すでに遅し。
こういう一言が言霊のちからで
刑事事件を呼んでしまいます。
民事事件と異なり刑事事件,特に身柄事件は
逮捕・勾留されていることから時間制限があります。
また事務所まで来ていただいて打合せできませんから
警察の留置場や少年鑑別所などに面会に行く必要があります。
民事はお金の問題ですが
刑事は自由が問題となります。
さらに刑事事件は被害者がおられて
謝罪や被害弁償も課題です。
これらのことから
刑事事件は一般的に気がおもいのです。
そうしたなか,パートナー会議の翌25日は
当番弁護士の担当でした。
2件電話がかかってきました。1件は例の
『ドラゴン・タトゥーの女』の最中にかかってきたやつです。
2件とも受任することになったうえ
翌26日にはもう1件,私選で受任することになりました。
覚せい剤事件,道路交通法違反(酒気帯び)・窃盗の成人事件と
道路交通法違反(共同危険行為)の少年事件です。
筑紫野署,博多署と
少年鑑別所。
『ドラゴン・タトゥーの女』の最中にかかってきたやつは
覚せい剤事件で否認していました。
否認の理由は,自分で使用するつもりはなく
他人から知らないうちに使用されたというものです。
覚せい剤使用事案の場合
尿の検査をして覚せい剤反応が出たことが前提となります。
なので,無罪を主張するときは
知らないうちにとか,無理にとかいう否認になります。
おおくの否認はあまり説得力がないのが実情ですが
本件は前後の事情からして真実と思われました。
捜査機関としては,覚せい剤使用について故意があった旨の
自白を獲得しようとしていました。
こういう場合,弁護人としてできることは
実はあまりおおくありません。やれることは
面会回数を適宜増やして,事実と異なる自白をしないよう
被疑者を励ますことに尽きます。
結局は被疑者の言葉が
捜査官の心をとらえることができるかどうかです。
弁護人にできるのは
それを信じて励ますことだけです。
無実の罪に泣くことになるのかと心配しつつ面会をしていたところ
先日,無事釈放されました。
ひと安心。
もう2件あります…。
ちくし法律事務所 弁護士 浦田秀徳
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