2011年11月8日火曜日
点と線
『点と線』(新潮文庫)は、ご承知のとおり
松本清張の長編推理小説。
わが福岡市香椎の海岸で
男女の情死とおもわれる死体が発見され
博多のベテラン刑事・鳥飼重太郎が
犯人のアリバイを崩していきます。
「点と線」という表現は
依頼者への説明でよく利用させてもらいます。
証拠には2種類あります。
書証と人証です。
書証は契約書や登記簿の記載事項など
人証は証人の証言や原・被告本人の供述などです。
書証は点
人証は線です。
裁判で提出された書証という点を
人証という線でうまく結べるかどうかが勝敗を決します。
すべての点がきれいな線で結ばれていれば真実とみなされ
デコボコな線でしか結ばれていなければ虚偽とみなされます。
実際はデコボコだったのかもしれません
往々にして真相はデコボコのことも多いでしょう。
でも裁判中の証言はどうしても嘘がおおくなるので
このようにして判断しなければ勝敗を決することができません。
ま、天動説と地動説どっちが真実か?
という問題に対する解答の判定と似ているかもしれません。
証人尋問、とくに反対尋問は
証人の証言の矛盾を書証によって崩すばあいがほとんどです。
みなさんも弁解のほころびをおぎなうためにまた弁解し
その矛盾点をつかれて立ち往生した経験がありませんか?
それはさておき、『点と線』で犯人が仕掛けたアリバイは
現在ではテクノロジーの進歩により完全に陳腐化しています。
われわれが読んでいて
なんでそんな簡単なアリバイが解けないの!?という感じです。
『点と線』が書かれたのは、私が生まれる前
1957~58年のことです。
時代的な制約ってやつです。
こういうことってありますよね?
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