2011年10月28日金曜日
リンドウ
リンドウ(竜胆)
多年生の植物。
むかしの人はなんの根でも一度は食べてみたようで
リンドウの根は非常に苦いらしい。
その苦さが唾液と胃液の分泌や腸の蠕動を高め食欲を盛んにするので
漢方では根を(りゅうたん)といい、健胃剤として用いられます。
その薬効から、日光(二荒)では霊草とされています。
それにはつぎのような縁起が。
昔、役小角が日光の奥山道を歩いているとウサギが現れ
リンドウの根を雪の中から掘り出した。
ウサギは、主人が病気なのでリンドウを探していたといって
走り去った。
役小角が試しに病人に飲ませると優れた効き目があり
「二荒神のお告げに違いない」と神意を感得した。
熊の胆(い)も苦いことが知られていますが
それよりずっと苦いことから竜の胆ださそうです。
われわれも子どものころ、程度が甚だしいことを
「鬼のように」などと修飾表現していました。
そこは古代中国ですから、「竜のように」
と修飾表現していたのでしょう。
日本(『和名抄』10世紀ころ)では、衣夜美久佐(えやみくさ)や
爾加奈(にかな)とされていました。
やはり苦さから、それぞれ笑止草(えやみぐさ)
苦菜(にがな)から来ているらしい。ほんとうでしょうか?
そのリンとした姿に由来するものでしょうか
「誠実」「正義」「貞節」という花言葉を贈られています。
赤、黄、白色の花も楽しく明るい気持ちになりますが
きれいな紫~青色の花も魅力的。
その色に由来するものでしょうか、「あなたの悲しみに寄りそう」
だとか「悲しんでいるときのあなたが好き」など物語的な花言葉も。
山でも、他の花が枯れてしまったなか
リンと咲くリンドウを見かけます。
草の花は、なでしこ。唐のは更なり、大和のもいとをかし。
女郎花。桔梗。朝顔。刈萱。菊。壷すみれ。
竜胆は、枝ざしなどむづかしげなれど、他花のみな霜枯れたる中より
いと花やかなる色合ひにて、さし出でたる、いとをかし。…
清少納言・『枕草子』
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