2011年5月24日火曜日
裁判傍聴
筑紫野市社会福祉協議会の催しで
心配ごと相談員のみなさんの裁判傍聴にご一緒しました。
あいにくの雨のなか
午前9時50分に福岡地方裁判所のロビーに集合。
裁判傍聴をおこなう日に
どのような裁判がおこなわれるか分かりません。
すこし早くでかけ、各法廷前に貼りだされている予定表をみて
どの法廷を傍聴するか決めます。
前回のときは、一般事件がなかったため連続強姦事件を傍聴
とくに女性の相談員のかたがたには苦痛だったよう。
今回は、窃盗事件(判決)、覚せい剤事件(新件)、道路交通法違反事件
(証人尋問)という法廷があり、ここを傍聴することにしました。
裁判について、はじまり、途中、終わりとひととおり
体験することができ、とても分かりやすいとの判断からです。
殺人や強盗事件などと異なり、件数も多い一般事件ばかり
地裁の裁判官が一人(単独)で審理する法廷です。
傍聴席から向かって正面に裁判官と書記官、その手前が証言席
その左が検察官、右が弁護人でした。
3件とも身柄事件、被告人らは早良区百道にある福岡拘置所から
押送されたようで、手錠腰縄で法廷のなかへ連れてこられます。
窃盗事件の判決は、主文をとばして理由から
死刑判決ではよくありますが、窃盗事件では初めて見ました。
前刑執行猶予終了後6ヶ月にしての再犯で
実刑もやむをえないところ、保護観察付きの執行猶予判決。
被害額が少なく犯行直後に逮捕されたことから実害がなく
反省し、家族の支援も見込めることが理由でした。
刑罰は、犯人を苦しめることが目的か再犯を防ぐことが目的か
議論のあるところですが、後者を重視した判決でしょう。
保護観察は、保護観察所・保護司の指導監督のもとに
更生を支援する制度。
今度やったら間違いなく実刑で刑務所にいくことになります。
そのような規制のなかで、立ち直りを期待するわけです。
相談員の方からは、このような保護観察中の人にどのように
接したらよいのか質問がありました。
「社会政策は最良の刑事政策」という格言を紹介しました。
貧困を解消することが犯罪防止には一番の処方箋という意味です。
心配ごと相談員は民生・児童相談員でもあるので
その職責をまっとうされることが防犯にも役だつでしょう。
覚せい剤事件は、人定質問、起訴状朗読、黙秘権告知、罪状認否
と冒頭手続からはじまりました。
「まったく覚えがありません。」と
100%否認事件でした。
強制的に採取された尿から覚せい剤反応が検出されており
問題はその由来。
知人宅で食した物のなかにそのような成分のものが入っていた
のかどうか、次回、その知人の証人尋問をやることになりました。
道路交通法違反事件(これも否認事件)では、昨秋における
二輪車の無免許運転が被告事実のよう(途中からなので推測)。
交差点で右折車と事故を起こしたものの
二輪車側の運転手が現場から逃走し、それが被告人なのかが争点。
友人と会社の部下の2人が法廷に呼ばれ
当日の被告人の言動や二輪車の放置場所などが尋問されていました。
こうして、午前中の2時間でしたが
とても充実した審理を傍聴することができました。
その後、質疑をおこなったのですが
相談員のみなさまからは活発な質問がなされました。
国民が裁判を傍聴する権利は、国民の人権
とくに刑事裁判についてはそうです。
裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行う(憲法82条)。
すべて刑事裁判においては、被告人は、公平な裁判所の
迅速な公開裁判を受ける権利を有する(憲法37条1項)。
市民革命前の絶対王権のもとでおこなわれていた非公開の
いわゆる暗黒裁判に対する反省からこれら人権が保障されました。
かならずしも歴史のなか過去の出来事ではなく、いまでも
中東や北朝鮮などの独裁国家でおこなわれていると報道されています。
テレビや新聞をつうじて裁判に接するのみならず
みなさまも直接、裁判を傍聴してみませんか?
裁判傍聴は原則としてすべての事件についておこなうことができます。
ひとりで不安がある方は当事務所や弁護士会にお問い合せください。
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