2010年12月11日土曜日
「樹影讃」
(美女平のブナ)
「あいさつは一仕事」を読んでゐたら
丸谷才一さんには
「樹影譚」(文春文庫)
なる小説があることを知りました。
「若い読者のための短編小説案内」(文春文庫)
のなかで村上春樹さんがとりあげてゐるようですが
気づきませんでした。
でもこんかいは、さーつと頭のなかに飛び込んできました。
卒啄(そくたく)の機なのでせうね。
卒啄の機は、禅の言葉
卒は、ひな鳥が卵の内側から殻を突っつくこと
啄は、親鳥がそれに即応して、外側から殻を叩くこと。
ひな鳥が卵から孵る時に、ひな鳥の発する気配を感じ取って
親鳥が外側から殻をコツ、コツと叩いて
ひな鳥が殻を割って生まれるのを助けることを表したもの。
転じて、教育や指導もうける側の態勢が熟していることが重要
さうでなければ上滑り、空回りしてしまふの意。
せつかくの村上さんのアドバイスも
こちらの機が熟していなかつたため、キャッチしそこねました。
(それか、若ひ読者むけの本だつたので、熟しすぎてゐたか)
村上さん、ごめんなさひ。
人権課題もあまりにもはやく問題提起してしまったために
かへつて解決がむずかしくなり、遅れたりすることがります
「あれは10年早すぎた。」といふように。
さて、こんかひ私をとらへたキーワードは「樹影」
今夏から本ブログのために
デジカメ写真をよく撮るようになったところ
気づいたら、被写体は「樹影」が異常におおくなってゐます。
いはば「樹影フェチ」
さういへば「樹影」をみると、激しく心をゆさぶられます
それで、「樹影譚」という言葉にとらわれてしまったんでせうね。
「樹影譚」はとっても面白い小説でした。
どこがどう面白ひかは村上さんの「若い読者」をどふぞ。
いや、そんな間接アプローチがまどろつこしひ
(村上春樹さんの助け・指導などいらぬ)
といふ人は、さいしょから「樹影譚」をご覧くださいまし。
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