2025年12月10日水曜日

ある家賃請求事件

 

 ある家賃請求事件が解決した(和解)。

 ときどきいる人柄のよい大家さんである。賃借人による家賃の滞納がもう何年もつづいている。借主本人に請求するのはよいのであるが、問題は連帯保証人に対する請求である。

 過去の裁判例によると、連帯保証人に対する請求について、信義則を根拠に制限する例がみられる。相手方はその制限を主張した。

 信義則による制限というのは、知らないうちに連帯保証人の責任が過大になっては気の毒であるという理由である。しかし、相手方は主債務者の両親もしくは兄弟であり、賃借時もいまもおなじ町内に居住している。知らないはずはあるまいと反論した。

 また連帯保証人は賃借人の父だったのであるが、ご本人は亡くなり、妻と子2人が相続人であった。連帯保証人の責任のうち妻が1/2、子がそれぞれ1/4相続することになる。

 子のうち1人は賃借人本人である。この1/4の責任については、主債務者の責任とかぶってしまう。つまり、連帯保証人の責任として追及可能なのは3/4の部分である。

 残る子1人は、今般はじめて負債の存在を知ったとして相続放棄をおこなった。相続放棄は被相続人が亡くなってから3か月以内に行わなければならない。しかし3か月経過後に負債の存在を知った時は知ったときから3か月以内という特例があり、相手方はそれを主張した。

 この点も親子、兄弟なのであるから、滞納賃料の存在を知らないはずはない。また父には自宅建物という遺産があり、その相続がなされているのであるから、単純承認がなされているはずだと反論した。

 裁判所から和解勧告がなされ、連帯保証人の責任はほぼ半額程度で解決をみた。

 賃料滞納への対処の目安としては「3か月」である。賃料が3か月滞納したときは、内容証明郵便にて催告を行い、支払いがなければ内容証明郵便で解除通知を行う。そして弁護士に賃貸物件明渡しの訴訟を依頼すべきである。そうしないと、上記のような訴訟を余儀なくされてしまうだろう。

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