(宝厳院の紅葉)
きのうのつづき。
『水戸黄門』や『遠山の金さん』の場合,最後は大立ち回りをやってどちらかというと刑事処分,行政処分的な解決が図られている。しかしながら,日本の現行法上は民事的な解決が図られることが一般的である。
民事的な解決といった場合,テレビ的な大立ち回りで一件落着というわけにはいかない。きのう書いたような幾多の困難を乗りこえて,民事裁判で「被告は原告に対し金1,000万円を支払え。」との勝訴判決をえたとする。実務ではそこから先にこそ最大の困難がまち受けていることが多い。
この判決を現金に換えて満足をえるには,被告が任意に支払うか,それがなければ強制執行によらなければならない。強制執行は,被告の財産,たとえば,不動産,預貯金だとか,給与だとかの差押え・競売をおこない,これにより現金を得るということである。ということは,被告に財産がなければ満足は得られない。被告の財産の所在がわからないということも,これに含まれる。とくに後者の場合,一般的な理解は非常に得られにくい。
財産の所在調査については,近時,裁判手続のなかで,財産開示がなされるようになっている。しかし,これも限界がある。そこから先は,興信所や探偵の仕事になるのであるが,そこにも困難が含まれている。なかなか,『水戸黄門』や『遠山の金さん』のように,すっきりとした解決に至らないことも残念ながら少なくないのである。
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