2016年2月12日金曜日
離婚の財産分与 ~ 将来の退職金
離婚のご相談で、盲点となりやすいのが、将来の退職金です。
例えば、夫が57歳で、職場の定年が60歳。主婦の妻と離婚の協議をしている。
というご相談であれば、退職金は盲点になりません。
将来の退職金について妻への分与は認められるでしょう。
あとは、貯蓄などがあって、離婚時に、退職金の分与を清算できるのか?
それとも、退職金が支払われた後に清算ことにするのか?
状況に応じた交渉をしていくことになります。
では、夫が57歳ではなくて、もっと年齢が低かったら??
私が経験した事例では、夫が52歳(中小企業の会社員)だったのですが、家庭裁判所の調停委員は
「うーん、分与を認めるべきかどうか、、、微妙・・・」
という顔をしていました。
最終的には夫婦の合意がうまく整いましたので、裁判所が結論を出すまでには至りませんでした。
実際の調停の現場での将来の退職金の取り扱いというのは、こんな感じなのです。
また、少し事例を変えてみましょう。
夫が52歳というところは同じでも、妻が不倫をして慰謝料の支払義務が認められそうだったら?
このときに、例えば、妻の側から、
「将来の退職金は精算しなくてもよいので、
その代わりに慰謝料の支払を免除(又は減額)してほしい」
と切り出すのは、かなり有効な手段だろうと思います。
調停委員も、話に乗ってくることが多いのではないでしょうか。
将来の退職金を現実に分与させるまでのハードルと、
分与の話を切り口に慰謝料を免除(又は減額)させるまでのハードルは、
違う(後者のハードルが低い)ということなのです。
離婚にまつわる法的な処理の実際というのは、本当にいろいろな糸が絡み合っています。
書籍やネット記事の知識だけで実際の現場にのぞむと、「えっ」と思うことも多いと思います。
そうならないようにするのが、私たちの仕事なのです。
弁護士田中謙二
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