2015年12月17日木曜日
法律相談のしかた②
法律相談は算数の問題と答えとはちがって
アドバイスや見通しについて行き違いが生じがちです。
法律相談にはいくつも前提条件をおいて回答することになりますが
前提をとばして「勝つ」という見通しだけが耳に残りがちです。
裁判では,複数の事実の組合せの結果
裁判に勝ったり,負けたりします。
一般に法律相談の際には
事実の存否を確定できません。
裁判における主張・立証の結果
裁判官によって事実の有無が判断されることになります。
相談者にとっては,ごじぶんの心のなかでは
それら事実の存在することが明白なのですが
実際は,争いになりますので
事実を裏付ける証拠が必要になります。
この点,われわれは,「それらの事実が認められれば」
勝てるでしょうねと見通しを述べることになります。
相談される方は,勝ちたいという思いが強く
前提事実は自明のように考える傾向があります。
なぜでしょう?
ぼくはテレビの影響かなと考えています。
日ごろ,水戸黄門や遠山の金さんを見慣れているせいでしょうか
たしかにテレビ番組では,毎回かならず正義が実現されます。
しかし,それは風車の弥七が屋根裏から悪代官の謀議を盗み聞きしたり
金さんが遊び人として街中を徘徊して現場に居合わせるからでしょう。
しかし,日本の裁判官が現場に居合わせて
じぶんで目撃したなどということは100%ありえません。
その結果,日本の裁判では,立証ができないために
必ずしも正義が実現されるとは限らないことになります。
法律相談をされるときは,そこに注意して
弁護士のアドバイスを聞くようにしてみてください。
もちろん,こちらもできるだけ誤解のないように
説明するよう努力します。
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