福岡市博物館でやっている
『博多・聖福寺展』
栄西禅師八百年
大遠諱記念特別展。
やや意外なことに,博多の聖福寺は
日本最初の禅寺である。
しかし,鎌倉時代にタイムスリップすれば
これは意外でもなんでもない。
事情は松本清張の初期代表作
『点と線』のアリバイトリックに似ている。
念のため『点と線』の
あらすじ。
東京駅13番線プラットフォームには
料亭「小雪」の女中2人と容疑者Yの3人がいた。
15番線プラットフォームで,夜行特急「あさかぜ」に
「小雪」で働くTとSが乗り込むところを3人は目撃。
Sは現在社会をにぎわしている
汚職事件の関係者であった。
数日後、TとSは香椎の海岸で
情死体となって発見された。
博多のベテラン刑事・鳥飼は,
真相を探るため、ひとり捜査を開始。
だが、容疑者安田には
完璧なアリバイがあった…。
鳥飼は鉄道中心に推理するので
Yには完璧なアリバイがある。
しかし飛行機を考慮にいれれば
なんということはない。
移動手段が鉄道中心だった作品発表当時
このアリバイは完璧だったかもしれない。
が,いまからみれば
やや陳腐な感じ。
なぜ,鳥飼はこんな簡単なトリックを見破れないのか?
というふうに思ってしまう。
さて博多・聖福寺が日本最初の禅寺であったことも
当時の交通事情を考えれば不思議でもなんでもない。
臨済禅は中国から
もたらされた。
当時,中国に往き来するには
飛行機はなく,船だけ。
その船に乗るには
中世の大都市,博多を経由することになる。
かくて日本最古の禅寺は
博多にひらかれた。
山門の勅額にはずばり
「扶桑最初禅窟」。
日本で最初の禅寺と
書かれている。
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