『完全黙秘の女』
法律家の書いた文章は悪文である
と,よく言われる。
そのとおり。
いやになる。
誤解を避けるためといわれる。
ほんとうだろうか。
弁護士には
本を書く人がおおい。
なかには
小説に手をだす人もいる。
でもなんというか
やはり準備書面調。
準備書面は民事訴訟にあって
当事者の主張を詳しく説明するもの。
弁護士の小説も説明であって
表現でないことがおおい。
自費出版の愛好家がおおいことと
相関関係にある。
弁護士としての能力と
小説家としてのそれは別ものだ。
そうしたなか
法坂一広さんの快挙だった。
『弁護士探偵物語 天使の分け前』(宝島社)
『このミス』大賞を受賞。
文章の実力により
本屋で平積みになった。
『完全黙秘の女』(宝島社)は
弁護士探偵物語の第2段。
文章は前作よりこなれて
ますます上手くなった。
1行ごとになにがなんでも
うんちくを語る。
その語り口はあいかわらずだけれど
くさみは減った。(慣れただけかもしれない)
シリーズものの強みで
作品世界に入っていきやすい。
福岡市とその近郊が舞台になっていて
なじみやすい。
弁護士や裁判官の生態,弁護士業界の現況
刑事裁判の問題など,いろいろ勉強になる。
半分ほど読んだところで
犯人がわかってしまうのが難点。
でも犯人がわかっても
人間愛で読ませる。
なにより新人女性弁護士
土田さんの成長物語なのがいい。
法坂先生,こっそり
土田さんのメルアド教えてください。
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