2011年12月7日水曜日
「我が敵は我にあり」(2)
私が弁護士になったころは、暴力団員が一般民事事件に
介入してくることがよくありました。
月に一度くらいは暴力団員と「引き合い」になりましたし
彼らも自分たちのことを「裏の弁護士」と呼んだりしていました。
とくに弁護士がいない地域における「裏の弁護士」の需要は高く
そんな地域の紛争では「引き合い」になることが多かったです。
(この意味でも、地域に弁護士がいることが
大切なんですね。)
いったん「引き合い」になると、いわゆる夜討ち朝駆けで
朝と夕方、必ず脅迫めいた電話がかかってきました。
そうした心理的負担から
事件数が倍増したような気持ちになりました。
あるとき、養育費の請求について、妻が暴力団員に取立てを依頼
夫からその交渉を頼まれたことがありました。
まずは暴力団事務所へ来い!といわれるところ
そこまではよう行きませんと正直に対応します。
そのうえで、市内の老舗ホテルのロビーで
交渉することになりました。
行ってみると、白いエナメルの靴を履いたいかにもという方々が
ずらりとソファに並んでいます。
喫茶室に行き、コーヒーを注文しますが
手もとが震えるといけないので、飲めません。
店員のひとたちも
気の毒そうな目で見ています。
相手方の要求は、養育費月3万円、年間36万円、20年弱分700万円
を一括で支払えというもの。
依頼者にそのようなお金はありませんし、養育費は子どもの権利なので
一括して支払っても後に子どもからの請求を拒絶できません。
それで、月々3万円の支払いしかできない
と頑張ります。
しばらく押し問答がつづいたのち
しゃあないなぁと分割払いで話がつきました。
2,3か月してから、また先方から電話
元依頼者(夫)が支払いを怠っているとのこと…。
やむなく先方に代わり、元依頼者にたいし
ちゃんと支払うようにと厳しく注意する電話をしました。
なんか暴力団員の手先となって
取立てをしている気分に。
こうしてそれから2年くらい、滞るたびに
元依頼者に電話をしたのでした。
2年たって暴力団員の電話はなくなりましたが
元依頼者がきちんと支払いを続けたわけではなさそう。
そのころ、有名な広域暴力団どうしの抗争があって
自分の身が危なくなり、取立てどころではなくなったのでしょう。
その後、暴力団対策法が制定されたこともあり
暴力団員が一般民事事件に介入してくることは激減しました。
それでも時々はあります。
最近は、いわゆるヤミ金(闇金融)事件がおおいですね。
違法な金融業、違法な高金利、いずれも犯罪
でもそんなところから借りてしまう人にもスキがあります。
交渉で解決することがほとんどですが
ときにいつまでも引きずることがあります。
交渉で解決しないときは
刑事事件として対応するしかないです。
いちばんは、このような人たちと一切関わらないことですね。
(あまりにまっとうなまとめですみません。)
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