ホオノキ(朴の木)@越後駒ヶ岳
駒ノ湯の登山口ふきんから小倉尾根にかけて咲いていました。
日本料亭などでホオの葉に包んだ料理が出されることがあるので
大きな葉っぱのほうはご存知でしょう。
葉は芳香があり、殺菌作用があり、落葉も火に強いため
味噌や他の食材をのせて焼く朴葉焼きの材料として利用されています。
古くから食器代わりに食物を盛るのに用いられてきたようで
6世紀の王塚古墳では、玄室の杯に葉が敷かれていたとか。
駒ノ湯温泉のまわりにもいっぱい生えていたので
宿では朴葉料理が供されるのでしょうか。
葉っぱに比べて
花のほうは知らない人が多いのでは?
モクレンの仲間らしく
無人島に咲いていそうな、大きくて原始的な趣きです。
大きな木の上のほうに咲いていたので
私のデジカメと腕ではこれくらいの写真が限界です。
辻邦生さんの「
西行花伝」(新潮社)に
西行が出家前、花の美に目覚める場面があります。
…白梅が鋭く差し交わす枝に清らかな花を咲かせていた。
私は息を呑んでそこに立ちつくした。
それは春ごとに咲くただの白梅であった。しかしその瞬間の私には
いつもの梅と違うもの、梅という名前さえ持たないものに思えた。
それほど、その梅は、異様に清らかに見えた。
冷たい朝の空気のなかで、花は高貴な、香しい、凛とした白さであり
地上から抜き出た気品のなかに
清雅に、簡素に匂っていた。…
山で花に出会うと、一瞬、そのような気持ちになることがあります。
普段の花とちがう出会い、山歩きの楽しみのひとつです。
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