さいきん、ちくし法律事務所で話題になった事件を
紹介します。
最新の判例集(
判例時報2108号57頁)に掲載されていたもので
東京高裁の事案です。
太郎さんは、結婚相談所を介して花子さんと知り合いました。
2人は交際、合意の上で性行為を行い、花子さんが妊娠しました。
その後、破局。
花子さんは太郎さんの了解をえて中絶しました。
花子さんは、太郎さんが妊娠と中絶に関して不法行為責任
(民法709条)を負うとして提訴。
治療費、慰謝料など合計905万円の損害賠償を求めました。
太郎さんはこれを争いました。
男女間でありがちな事案ですが
みなさんはいかがお考えでしょう?
東京地裁、東京高裁ともに
太郎さんの責任を認め、114万円余の賠償を命じています。
中絶後に、太郎さんが花子さんの身体的、精神的苦痛や経済的負担の
不利益を軽減し、解消するための行為をしないことが不法という理由。
さすがに合意の上で性交渉をし妊娠中絶をしたこと自体は違法に
なりません。
でもその後の態度、不作為責任を問題にされています。
先行行為に基づく保護責任者遺棄罪みたいな理屈ですね。
結論の妥当性、法的な理由、慰謝料額の当否について
いろいろと議論になりました。
女性弁護士が東京高裁の判断を必ずしも支持するわけでは
なかったところが、この事案の微妙なところです。
おなじようなご相談がきたときにどうなるのか?
やはり悩ましい事案であるといわなければならないようです。
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