2011年4月19日火曜日
少年よ
いまの時期、山を歩いていると
どんぐりの木(コナラ)が花を咲かせています。
通勤途中にもちょっとした林があるのですが
やはりクヌギが花を咲かせています。
どんぐりの実は誰でもが知っているのに対し
花のほうはどうでしょう?人知れず咲いているようです。
さて先日、ある少年に対し保護観察処分がいいわたされました。
非行事実は、集団暴走行為その他の道路交通法違反など。
少年法は、少年の健全な成長を通じて、健全な社会づくりを
めざしています。
成人の累犯者(何度も犯罪を続ける人)の立ち直りは
なかなか困難です。
ですが少年のばあい、まだまだ成長可能性をのこしているので
健全な成長を遂げることが期待できます。
一人の少年が累犯者にならずに更生することで
社会が受ける利益は大きなものがあります。
しかしながら、社会や国会議員の理解を得られにくい話題で
実際には厳罰化という方向に議論がいきがちです。
「北風と太陽」の寓話を
思い出していただきたいと思います。
少年事件でも、警察による逮捕・勾留、検察官への送致までは
成人とそう変わりません。
でもそこから先は少しちがい
検察官は家庭裁判所に送致します。
家庭裁判所はまず、観護措置の要否を判断します。
観護措置となれば、鑑別所に収容して、少年の要保護性を判断します。
鑑別所は、少年院との区別がむずかしいのですが
少年院に送るべきかどうかを、みて、わけるところです。
鑑別所の技官と家庭裁判所の調査官が
少年の性格や家庭環境をくわしく調査します。
少年院は本来、教育施設であるべきところ
実際には予算が足りず、十分な処遇がなされていないようです。
また半年もしくは1年間の身柄の自由を奪う処分でもあるので
少年院送致が適切かどうか十分な吟味が必要です。
そのため日本弁護士連合会では、少年院送致が見込まれる事件など
について無料で付添人の援助が受けられるように図っています。
この制度によって今回、付添人に就任しました。
福岡市内のS弁護士と共同受任です。
手分けして、少年との面会、記録の閲覧・謄写、保護者・雇主との
面談、調査官との面談、意見書の提出などをおこないました。
本件少年も鑑別所に収容されていました。
福岡のばあい、西鉄大橋駅からタクシーで数分のところにあります。
鑑別期間は通常1か月間のところ、のこり3週間くらいでした。
週1~2回面接をおこないました。
鑑別所という非常に特殊な空間における面接で緊張します。
人格と人格のぶつかりあいで、少年事件の要の部分です。
窃盗がいけないというのは分かりやすいのに対し
道路交通ルールの重要性を少年の腹に落とすのは難しい。
少年のばあい、暴走仲間や喧嘩仲間に所属する問題はあったものの
仕事もまじめにいっていて、反省している様子もありました。
他方、保護者も職場の上司も、少年の更生に前向きで
被害弁償も努力し、審判にも立ち会ってくれました。
こうして直ちに少年院に送る必要はないという判断で
保護観察処分に。
保護観察は、地域の篤志家である保護司さんの
指導と監督を受けながら立ち直りをめざす制度です。
まじめにやっていってくれ
さきざき立派な実をみのらせてくれるものと期待しています。
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